昨日、このブログに書かせていただいたが、俳優の近藤正臣さんのことが気になる。ソファーに座り、遠くを見つめているような姿に、深い孤独を感じるのである。
近藤さんは1942年生まれ。奥さんは小中高の同窓生で、1歳違いという。
40代の時訪れた岐阜・郡上八幡の自然に魅せられ、8年前に奥さんと共に移住。釣りをしながら穏やかな晩年を過ごすはずだった。
しかしその後、奥さんが認知症を発症。里山でひとり、ワンオペ介護に追われるなか、自身も腰の手術を受けるなど、過酷な日々を送る。そして一昨年、56年間連れ添った最愛の妻を亡くし、ひとり暮らしに。
郡上八幡を終の住処とされたのは75歳のとき。病気など何も抱えていなければまだ若い。奥さんと二人で、今までの人生を確かめ合い、豊かな気持ちの中で郡上八幡の生活があったはずである。
その奥さんが亡くなってしまった。奥さんが無くなってしまうのである。どれほどの寂しさであろうか。
NHKは、『妻亡きあとに ―近藤正臣 郡上八幡ひとり暮らし―』という番組を放送するという。
83歳の近藤が向き合う「老い」と「孤独」に長期間密着。深い喪失感を抱えながらも、郡上八幡の自然や地域の人と共に、自分らしい生き方を模索し始める一人の老齢男性の日々を見つめた、ということが番組の内容らしい。
担当ディレクターのメッセージがある。
パートナーを亡くした83歳の一人の男性が、“その後”をどう暮らし、どう生きていくのか。その姿を見つめることで、いま、高齢でひとり暮らしをしている方々への様々なヒントがもらえるのではないか。
そして、自分もそうなった時に、何を覚悟しておかなければならないのかも教えてもらえるのではないか。
このディレクターという人が、男性なのか女性なのか、何歳なのか知らないが、ディレクターという立場では、近藤さんの気持ちを理解することはできないであろうし、表現することもできないはずである。
妻を失った男の暮らしが、「高齢でひとり暮らしをしている方々への様々なヒントがもらえるのではないか」などということはない。無理に筋立てはしないほうがいい。
このこの番組、見ようかなと思うが、見ないほうがいいという気もする
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