楽しい話ではないが、このところ西郷輝彦という歌手のことを思い出している。私と生年月日は10日くらいしか違わないが、3年前に75歳で亡くなられている。
楽しい話ではないというのは、西郷さんの死因が気になっているからで、西郷さんが楽しくないと言っているわけではない。しかしこの人が歌った歌を何曲が知っているが、いいなと思った曲がひとつもない。
「星のフラメンコ」はこの人の代表曲のようだが、聴いていて笑ってしまう。歌詞もメロディーラインもちゃっちくて、偽物とか真似事といったことを感じてしまう。作者の方には失礼だがこういう歌は作らないほうがいい。
西郷さんは歌手よりも役者の方が合っていたようだ。
西郷さんの死因は前立腺がんと言われている。前立腺がんは進行も遅く、あまり深刻ながんではないとされていたから、西郷さんの訃報を目にしたときは少々驚いた。西郷さんの死が報じられた日は、私のがんが告知された日でもあった。
2011年に前立腺がんが判明し全摘手術を行ったが、2017年11月に前立腺がんが再発し、2021年4月、ステージ4の去勢抵抗性前立腺がんと公表し、がんが骨にも転移していたことも明らかにしている、とネットにはある。
西郷さんが前立腺がんで死亡したことが注目されたのは、がん再発後オーストラリア・シドニーで、国内未承認の最先端治療を受けたことだ。
がんを公表したのと同時に渡豪している。その後寛解したという報道があったが、わずかその数ヶ月後に亡くなっている。
10年以上前立腺がんと向き合ったことになるが、全摘してその6年後に再発して、さらにその4年後にステージ4の前立腺がんになっている。少しもよくなっていない。
医師はステージ4の時点で緩和医療を勧めたということだが、西郷さんは外国の先端医療に賭けた。
治療経過に疑問を持ってしまう。全摘後再発までの期間、どのような治療をしていたのだろうか。経過観察だけだったのだろうか。
再発してからステージ4のがんになるまで、どのような治療をしていたのだろうか。骨への転移は防げなかったのだろうか。
国内未承認の最先端治療というのは効果がなかったのか、それとも手遅れだったのか。
全摘して、最先端治療を受けても助からなかった。
私の友人で、芸能界とか歌謡曲などに一切興味のなかった人が、西郷さんの名前と死因を知っていた。
彼も前立腺がんを患わっている。
前立腺がんの怖さを知らされた西郷さんの死である。
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