失われた30年

つぶやき

 財務省が発表した国際収支速報によると、2024年の経常収支は29兆2615億円の黒字であったという。これは日本の1年の稼ぎとしては過去最大だそうである。

 貿易ではあまり稼いでいないというのに全体では稼いでいる。貿易以外にいろいろ稼ぐ手段はあるのだろうが、経済の素人としては貿易が赤字でも儲かっているというのは少々驚きである。
 日本経済はまだまだ大丈夫なのか、落ち目なのか。

 景気がいいという時代があった。小学校の5年生の時先生が、「今の景気を何というか知ってるか」というような質問をした。
 私はそんなことは全く知らなかったが、「神武以来の好景気」と手を挙げて答えたのは質屋の息子であった。

 小学生当時の学習年鑑という本には、日本の造船は世界一であるとか、鉱工業の発展が目覚ましいとか、当時の華々しい日本の躍進が掲載されていた。

 それから数十年。バブルに踊り、そしてバブル崩壊。以来日本の落ち目が取りざたされている。

 あの景気のいい時代を牽引したソニーや東芝などは、今何を作って何を売っているのだろうか。
 半導体は日本がダントツに世界一であるという話は、つい最近まであったような気がする。

 シャープという家電メーカーが台湾の会社の傘下に入ったという話は知っているが、その後どうなったのだろう。

 あの「技術のニッサン」が存亡の危機に瀕しているという。
 昨年7月に車をニッサン車に買い替えたから倒産などされたら困る。
 「ホンダの子会社になることはニッサンとしてのプライドが許さない」。分からぬ話ではないが、プライドを掲げる余裕があるならいいことである。

 日本の産業を私が心配したところでどうということもない。

 今もバブル崩壊中なのか。バブル崩壊を抜け出したのか。そのことについてハッキリとした論評がない。

 1991年をバブル崩壊元年というから、「失われた30年」は既に終わったことなのか、これからも続いて「失われた40年」、「失われた50年」となるのか。

 何事も「再生」は難しいこととされている。再生に至るしがらみを抱えてのことであるから、再生は難しいことになるらしい。

 日本の戦後社会は、再生ではなく新生であった。あれほど破壊されては生まれ変わる以外にない。それがよかったのかもしれない。

 「失われた30年」とは誰にも責任がないような言い方である。
 就職氷河期。終身雇用制度崩壊、非正規雇用の増加による雇用の不安定化。少子高齢化。

 「失われた30年」は、国民の幸せが失われた年月である。

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