2人の元警察官

つぶやき

 このところ梅雨冷えと言うのか寒さを感じる。梅雨寒(つやさむ)という言い方もあるらしい。この方が実感に近い。
 春を迎えるころの20度はポカポカ陽気である。同じ温度でも季節によって感じ方が違う。
 
 このところ2人の元警察官が話題になっている。1人は佐々木成三さんという埼玉県警で刑事をしていた人。もう一人は大阪府警で刑事をしていた北村耕太郎さん。

 佐々木成三さんは昨日の徹子の部屋に出演していた。40歳の時退職し現在46歳である。

 北村耕太郎さんは2,3日前のテレビニュースの中で紹介されていた。現在40歳であるが10年ほど前に退職したということであるから30歳のころ警察官をやめたことになる。

 2人は共に刑事であったということだが、退職事由は異なる。佐々木さんは捜査1課の刑事であったそうだが、犯罪を取り締まることより犯罪を生まない、犯罪を防止する側にいたいということで退職したと言っている。すでにハンサムなコメンテーターとして活躍しているらしい。
 徹子さんは言わずと知れたハンサム好きな人であるから実にうれしそうであった。ただ私はこの番組を最初の5分くらいしか 見ていない。元警察官で芸能人になるという人間が信用できないのである。

 北村耕太郎さんの退職事情には素晴らしいいきさつがある。書けば長くなるが書かねばならない。ここに書くことによって敬意を表したい。

 北村さんは、発達障害などがある長男の誕生を機に大阪府警の刑事をやめ、障害児の療育を手がける会社を運営している人である。

 北村さんには大阪府警の時代、無実の少年を犯人扱いした経験がある。
 ある窃盗事件で疑いをかけた少年を任意同行し、「おまえがやったんだろう」と厳しく問い詰めた。

 任意同行と言っても実際は厳しい取り調べになるようだ。少年は否認を続けたが最後には「私がやりました」と泣いて認めた。

 しかし裏付け捜査を進めると無実だと分かった。迎えに来た母親から「発達の遅い子なんです」と聞かされた。

 発達障害の子どもは自分の意志を的確に人に伝えることができない。そのこともあってか、事実でないのに相手の言葉に合わせることがあるらしい。

 「あの子を苦しめてしまった。自分の息子も将来同じ目に遭うかもしれない」
 障害のある子供たちを社会から守るため何かしなければならない。北村さんは警察をやめ、子供たちのための施設を作りことを決心する。

 警察をやめたということが、何か不祥事を起こして免職されたのではないかと人に詮索され、なかなか理解されなかったらしい。しかし苦労の末、今は発達障害や知的障害、ダウン症などがある1歳から6歳の約60人が通う施設を運営されている。優しいまなざしで子供たちを見つめる北村さんの姿があった。

 たまたま元刑事であった2人の退職後の仕事が話題として報道がされた。(徹子の部屋は報道ではないが)

 警察は犯罪を取り締まるものである。そのため特別な権力が警察には付託されている。警察官はなぜ特別な権力が与えられたのか、その意味をしっかり考える必要がある。

 2人が警察退職後選んだ道は共に世のためであるが目指した先が異なる。
 北村さんは自分の子供が発達障害児として生まれてきたから、無実の少年を犯人扱いにしてしまったことを後悔したのかしれない。

 しかしそれによりたくさんの子供たちが救われことになった。人間過ちに気づいて、それから何をするかが大事である。

 二人の元警察官。人間としての重みが全然違う。徹子さんは何も分かっていないようだった。(了)

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