以前、映画「ジョーズ」を見ていて、ロバート・ショーという役者がいることを知った。
ロバート・ショーという名前に中学生のころから特別な関心を持っていたので、同姓同名は珍しいことではないのに、この名前を映画の中で見たときは、驚きのような気持ちになったものである。
「ジョーズ」のロバート・ショーさんは、船長でサメ狩りのプロという役であったが、最後は気の毒なことにサメに食い殺されてしまう。
それからこの役者さんが、「スティング」のギャングのボスとして出演していたことに気がついた。ジョーズでもスティングでも、なかなか味のある個性派とも言うべき役者さんであった。
中学生のころから特別な関心を持っていたロバート・ショーさんは俳優ではなく、1940年代から90年代にかけて、アメリカで指揮者として活躍したロバート・ショーである。俳優のロバート・ショーさんとスペルは全く同じである。
合唱指揮者として高名な人であるが、オーケストラの指揮においても実績を残した人である。しかしやはり、「ロバート・ショー合唱団」の指揮者として、日本の音楽愛好家に与えた感動はとてつもなく大きなものであり、オーケストラ指揮者ではなく合唱指揮者として、いつまでも語り継ぎたい人である。
それほどの評価をする指揮者であれば、その人のレコードを何枚も聴いて、コレクションとして蒐集しているかというと、そうではなく、私が買ったレコードはたった1枚であり、その1枚でロバート・ショー合唱団の素晴らしさを語っているのである。
その1枚は、あのスチーブン・フォスターの歌を混声合唱に編曲した合唱曲集である。
なんといっても編曲が素晴らしい。素朴なフォスターの単旋律のメロディを、シンフォニーのような豊かな和声に替え、それでいて原曲の持っている味わい失うことがない。ラベルの展覧会の絵以上と言ってもいいかもしれない。。
兄が小学校の4年生のとき、クラスを担任する先生のオルガンではなく、音楽を担任する先生のグランドピアノではじめて「故郷の人々」を聴いた時の感動を私に話したことがある。
「ものすごくいいんだ」。こんな言葉であったと思う。
その時私は2年生であったはずだが、その言葉を覚えているのである。
無性に、「ロバート・ショー合唱団」の「故郷の人々」が聴きたくなった。
フォスターの曲は民謡ではない。でもロバート・ショー合唱団の品のいい響きに、ロシアアカデミーとは違う生活の香りを感じる。
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