鼻の話は気を使う

つぶやき

 このところ体重が増えて腹が出てきたが、顔は反対に目がくぼみ、頬はこけてきた。

 イヤな顔になったなと思ったら、むかし「小森のおばちゃまよ」と物真似をしていたお笑い芸人を思い出した。
 なんとかしたいが、顔だけ太る方法はなさそうである。難しいが、笑顔を作って頬を持ち上げるしかない。

 現役時代、依頼人に失礼かと無精ヒゲをはやさなかったが、引退して念願の「ヒゲをたくわえた品のいい老人」になってみると、なにか汚らしくて落ち着かない。これからはなるべくヒゲを剃ることにした。

 人の顔の印象において、一番影響するのは鼻ではないか、と最近思う。ハッキリ言えば、格調の高さも美男美女も、鼻で決まるような気がする。

 目が細くても美男美女はいる。口は小さめがいいとされるが、最近では大きくても個性となる。しかし鼻は「いい形」という一つしかない。

 こんなことを思いついたのは、ある役者さんと、ある政治家のことからである。
 同じ人なのに、似合う役と似合わない役があるのはどうしてなのか。名家の出身というのにどうして品がないのか。

 顔についての話はあまりいいことではないが、「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら歴史が変わっていた」という言葉があるように、紀元前の昔から美人の要件は目や口ではなく鼻であった。

 人の顔を思い出すとき、その人の鼻を思い出すことが多い。
 顔の中心部にあるからということではなく、なにかその人の性格を表しているようである。

 好きな女性のタイプはと聞かれたら、こういう鼻ではない人、という言い方になる。
 いい鼻というのは綺麗に収まっているものだから印象に残らない。

 鼻には鼻高々、鼻で笑う、鼻持ちならぬと、思っていた以上にいろんな言葉があるが、あまりいい意味では使われていない。

 びもく秀麗は鼻目秀麗と思っていたが、眉目秀麗であった。
 やはり真っ先に目立つのは眉目のようであるが、それを確かなものにするのは鼻である。

 こんなことを考えてもなんのことはないが、最近孫の鼻が人形浄瑠璃から歌舞伎役者に変わってきた。大人の顔に近づいてきたということであろうか。

 来春は鼻筋の通ったキリリとした大学生になると思うが、男子校からの進学である。女子学生に鼻の下をのばすのも青春だが、美人を鼻にかける女子学生は、はなから避けた方がいい。

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