仕事をやめるきっかけは私が病気を発症したことであるが、もう一つある。それは事務所の整理である。
私は自宅の一室を仕事場にしていた。10畳ほどの部屋に4脚の机と椅子、事務機のほか大量の書類が山積みされている。家内は私に万一のことがあったときのことを心配している。
近所のご主人が私と同じように自宅を仕事場にしていたが認知症になり、部屋の整理もそうだが、何より役所などへの廃業届などの手続きを、何も分からないまま自分一人でしなければならないことがとても大変なことだった、というその奥さんの話がトラウマになっているようなのだ。
病気を機に仕事をやめて部屋の整理をしてほしい、と言うのである。少しでも頭がはっきりとしているうちに後片付けをしておいてほしい、ということなのだ。
まだまだ私は大丈夫だ、と私は思っているが、病はいつも突然である。家内の心配も考えなければならない。これが廃業のもう一つのきっかけである。
しかし私に万が一のことが起こったときの家内の心配がそんなことにあるのか、と多少薄情さを感じるが、とはいえ夫婦と言っても人に迷惑はかけられず、やはり自分のことは自分で処理しなければと思う。
事務所を整理しパソコン用の机だけになってみると、私の書斎としてはもったいないほどの広さになった。
事務所の片づけとともに、仕事をするうえで払ってきた費用を調べてみた。ほとんどが自動支払いになっている。
仕事をしているときはあまり気にもしていなかったが、たいそうな金額を払っていたことに気がつく。
光回線使用料。パソコンやコピー機の保守契約料。インターネットのプロバイダー料。仕事のためのソフトの使用料や保守料。メールにかかる定期的費用。携帯電話料等々。合わせて結構な額になる。
光回線に2つ加入していたことが分かった。これだけでひと月のNTTへの支払いが1万円も違う。なぜこんなことになっていたのか思い出せないが、取り扱った業者がすでにある光回線を利用せず、新たに使用申し込みをしたということしか考えられない。
先日、これから書類をコピーすることもめったにないことから、コピー機の保守契約の解約を申入れた。
私はリース契約は嫌いであるから事務機などはすべて現金で購入してきた。コピー機と言ってもいわゆる複合機である。購入時には100万円くらい払ったはずである。
保守契約を解約するのであれば以後そのコピー機は使用できなくなります、という販売会社の説明である。
どういうことなのか分からなかったが、保守契約を解約するとコピー機の心臓部ともいうべき部分を取り外してしまうらしいのである。
そんなバカな、この機械は現金で買ったもので借りているわけではない、とこちらの言い分を言うと、その心臓部分は貸与部分である、というのである。こんなことを日本を代表するような大企業はやっているのか、としばし言葉を失った。
話は変わるが、定期払いということで思い出したわけではないが、マンションの管理費、積立金が、なるべくしてなる問題として新聞などの家庭欄などで見かけることが多くなった。
最近のタワーマンションのこれらの費用が異様に高額であることから、いずれ入居者の大きな負担となっていろいろ問題が顕在化するであろうということ。
従来のマンションの老朽化が進み、修繕積立金ではまかなえず臨時徴収の常態化。それもかなりまとまった金額であることから、高齢な入居者は負担に応じることができないという問題。
管理費の値上げに居住者が応じないことから、管理会社が管理契約を解除するマンションが多くなってきたという問題。
なんとかなる問題なのか。何ともできないのか。放っておく問題なのか。
かつてマンションに住んでいたとき、管理組合の結成と運営に多少とも関わった者として気になることであるが、幸いなことに今戸建て住宅に住んでいるから関心を持ったところで何の意味もない、と自分に言い聞かせている。
一般的な住宅に供する土地を購入し建物を建てた場合、不動産取得税はかからないことになっている。しかし県税事務所などは請求書を送付してくる。
その送付書類の中に、申請すれば取得税が免除されます、というような説明書は入っていない。免税でも減税でも助成金でも補助金でも、申請しなければその利益を受けることができない。
最近ではスマホなどを利用した手続きを行政は推奨している。高齢者の人たちはせっかくの制度を利用できるのであろうか。
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