駅という映画

つぶやき

 チーク材のダイニングテーブルの塗装が剥がれてきて見映えがよくないので修理をすることにした。
 今年の春先に、隣家が壁の塗装を行った際知り合った塗装業者に依頼した。
 壁の塗装屋さんに家具の塗装は大丈夫かと思ったが、家具屋に依頼するのも面倒で、あと何十年も使うわけではない。

 家具の塗装の経験もあるらしく、古い塗装部分を剥がしてグラインダーで研磨すると、見る見るうちにきれいな地肌が出てきた。

 塗装は4回塗りだという。1回事に3時間くらい乾燥の時間をとらなければならない。業者はそのたびに帰えることになる。

 暇つぶしにテレビをつけると、「駅」という映画が始まるところであった。
 「駅」という映画と「鉄道員」という映画が別のものであることを知らなかった。高倉健さんは「駅」では刑事、「鉄道員」では駅長さんらしい。

 雪の北海道が舞台の映画のようである。
 健さんも倍賞千恵子さんも若い。何年前の映画かと思ったら1981年、43年前ということになる。

 映画の冒頭、妻の不倫が許せず離婚する夫婦が描かれている。別れの日に妻と4才の子を駅に見送る。そんなことをするものかと思う。

 いしだあゆみの泣き顔が、これからのストーリーを暗示するのかと思ったが何もなかった。

 いろいろ面倒な話があるが、どうやら「桐子」という小料理屋がメインのようである。

 高倉健と何か訳ありげな倍賞千恵子の女将。
 居酒屋のセットは、男なら誰もが好きそうな作りである。カウンター越しに美人女将とのやり取りがいい。

 八代亜紀の「舟歌」が紅白歌合戦の実況も交えて何回か流れる。桐子が好きな歌ということになっている。

 しかしなんか違う。倍賞千恵子さんは桐子の役に向いていない。
 美人過ぎるのか、色気が無いのか、すれていないのか、とにかくこの映画には似合わない。

 映画が終わってもテーブルはまだ乾かない。様子を見に来た業者さんに「このままやっていいですよ」と言ったら、「そういうわけにはいかない。また来ます」と言って帰ってしまった。

 なかなか良心的な塗装屋さんらしい。

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