大変な人気商品だそうだが、「チュールチュールチャオチュール」というコマーシャルが大嫌いである。
犬や猫が全く野生を忘れておやつに飛びつく姿がとてもイヤなのである。
飼い犬や飼い猫に野生というのも変な話であるが、肉とか魚にかぶりつくというのではなく、チューブを舐めるという姿がどうも動物らしく見えないのである。媚びへつらう、いやらしい人間のように見える。
これほど犬や猫が好むということは何か特殊なものでも入っているのではないかと思ったがそんなことはないらしい。
製造会社は愛犬家たちに好感を持たれているらしいが、私はどうもこういう商品を作っている会社というものが信用できない。
と思っていたら、これを販売している「いなば食品」という会社にトラブルが起きた。4月に入社予定の新人19人のうち17人が入社を辞退したというのである。
原因は、新しい社員寮が完成したということになっているのに実際は雨漏りもするようなぼろ屋であったということと、給与も募集要項より3万円も少なかったということである。ひどい話である。
トラブルは「新卒社員へのひどい扱い」ということで始まったことであり、会社としてそれなりの対応をすれば済んだことなのであるが、問題はあらぬ方向へと進展する。これを機に現役社員の内部告発が止まらないのである。
稲葉社長の妻である稲葉優子会長の、社員への嫌がらせや横暴なふるまいがネットで拡散し、謎ルールの存在もあって、単に企業体質が問われるということではなく、反社会的企業として全国民から叩かれるようになってしまったのである。
あのビッグモーターも同じような経過をたどったようだ。保険金の不正請求に端を発して会社の企業体質が社員たちによって暴かれ壊滅状態に陥った。
以前から同族会社というものに対する不信感がある。紅麹で死亡者を出した小林製薬もそうであるが、日本の企業の9割は同族会社である。
同族会社が悪いということではないが、しかし如何に社会的に貢献する企業といっても優先させるものは同族の利益であるという本質を抱えている。
同族の利益は収益の分配ということに限られるわけではなく、一族の思想の押し付けというものも含まれる。
企業の経営と所有の分離ということに見境がなくなってしまい、いなば食品の女性会長の行動に見られるように社員を使用人としか見ることのできない経営者を作ることになる。
今では大企業でも、創業時はリヤカーに人糞を積んで創業者が町を押し歩いていたというケミカル会社の話もよく聞くし、やはり創業者がリヤカーを引いて薬を売り歩いていたという製薬会社の話も聞く。
会社は一部上場で、社員数千人という会社でも、社訓は創業者の苦労話である。
経営上役に立つことはあるだろうが、会社一族の考えを社員に押し付けていることになる。それがイヤなら会社を辞めろ、というのが同族会社に共通する姿勢である。
企業の規模や社屋の大きさに会社を信頼してしまうことが多いが、日本の企業は同族的発想で成り立っている。創業者一族、経営者一族が安泰ならいいという考えが基本にある。社員はあくまで使用人に過ぎないのである。
バブル崩壊後サラリーマンの給料が上がらないのはこのためである。
日本は同族会社だらけである。あと数年で孫たちは大学を出て社会に出ることになる。
もし会社勤めをするのであれば我利我利亡者の経営者がいる会社だけは避けてほしい。そういう会社に限ってコマーシャルがうまいものである。
身に着けたインテリジェンスをもって将来を見定めてほしい。(了)
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