降圧剤を服用する者としてその功罪が気になる。週刊誌やネット記事には「降圧剤を飲んで死亡」というような過激な記事がよく出るからである。
医者に降圧剤の副作用について尋ねると、「飲まないことのリスクの方が大きい」という答えが決まって返ってくる。
高血圧は心臓病や脳卒中、腎臓などの内臓疾患の原因とされている。いずれも場合によっては一発であの世行きである。医者の言うことに従わざるを得ない。
高血圧の基準値は以前に比べれば格段に下がっている。
昔は年齢プラス90と言われた。180くらいでも正常値とされていた。
現在は130である。「血圧130過ぎたら○○茶」と、とぼけた女性アナウンサーのCMが無責任に聞こえる。
「血圧は年齢とともに高くなってあたりまえだ」という考えは、最近になって指摘されるようになったのではないかと思う。
以前は、とにもかくにも高血圧は危険だ、という一辺倒な考えしかなかったように思われる。
なぜ基準値を下げるようになったのか。
ともかく血圧の正常値を低くしておいた方がリスク回避につながるという常識的な考え方に基づくものであることは容易に想像できる。
うがった見方をすれば、「これ以上は高血圧ですよ」という基準値を低めに設定するだけで、健康な人を「患者」にすることができる。降圧剤は一生飲み続けることが多い。製薬会社は莫大な利益を得られるから基準値を低くした、とも言える。そういう指摘が高名な医師などから何度もされている。
日本高血圧学会のガイドラインで高血圧の基準が下がり始めたのは、2000年から。アメリカや日本で高血圧の新薬が発売されたころと重なるらしい。
1970年当時、降圧剤を服用している人はおよそ300万人。現在は2000万人を超えていると言われている。以来製薬会社はずっと笑いっばなしのようである。
血圧の問題のしょっぱなはかかりつけの医者ということになる。医者は高血圧に対してどのような考えに基づいて対応しているのか。
ほとんどの現場の医師は日本高血圧学会のガイドラインに従って患者を高血圧と診断し降圧剤を処方している。高血圧に関し自分の見解を持って対応している医者はほぼいないらしい。
多忙な医師にガイドラインが正しいかどうかを検証する時間はない。とりあえずこのガイドラインに従っておけば万が一のときも安心、という思いがあるのかもしれない、と医者の対応について批判的な医者が何人もいる。
現状の高血圧に対する医療の在り方について批判的な医師たちが大勢いる。日本高血圧学会が正しいのか、異論を主帳する医師が正しいのか、患者には分からない。
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