華々しくスポットライトを浴びて活躍した歌手の方や、銀幕のスターと言われた映画俳優たちが、幸せな最期を迎えられたかというと、そうである場合も多いし、そうでない場合も多いらしい。
先日亡くなられたいしだあゆみさんは孤独死だったとネット記事が伝えている。生きている人まで死んだことにしてしまうような記事であるから信用する気は毛頭ないが、孤独死のほうが人目を引くということであろう。
孤独死というと大原麗子さんを思い出す。まさに、「なぜ」「どうして」という女優さんであった。
妻に先立たれるか、自分が先か。こんなことを考えるような歳になってしまった。妻に先立たれたことはまだ一度もないが、そのような時の気持ちというようなことを経験したことがある。
今から15年近く前、まだ夫婦ともに60代の初めであったが、家内が大学病院でがんの疑いをかけられた。それも死亡率の非常に高いがんである。
大学病院の診断ということもあって、がんの疑いは間違いのないことかもしれないと不安は高まった。
知り合いの医者に聞くと、「そのガンなら一発だ」と言う。もちろん助かる見込みは薄いということである。
妻がこの家からいなくなる。妻と会うこともできず、話もできない。とにかく妻がいなくなってしまうのである。
これほどの絶望ということを人生に感じたことはなかった。母の訃報を聞いても驚くことはなかった。
家内のがんは結局、数ヶ月の検査の後、放射線科の誤診となった。さんざん人を苦しめておいて最後は、「誤診でよかったですね」というのが肝胆膵科の医師の言葉であった。
若い頃同じマンションに住み、一緒に子供たちのための音楽会を運営した奥さんが、数年前がんで亡くなられた。そのとき、ご主人が号泣したという話を、共通の知り合いから聞いたことがある。
妻に先立たれた悲しみというものが、この夫婦の顔を思い出すと自分のことのようによく判る。いい人達であった。
今日朝8時からNHKBSで、近藤正臣さんの番組が放送される。
すでに二度ほどこのブログで触れているが、番組名はドキュメンタリー「妻亡きあとに~近藤正臣 郡上八幡ひとり暮らし~」
夫婦そろってこの地が気に入り移住したが、妻は認知症を発症し、数年後に他界してしまう。一人残された近藤氏。83歳。NHKは何を映すのか。
今7時半。ビデオをセットして待つ。
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