負けて深々と礼をする

つぶやき

 大相撲秋場所は大の里の優勝で終ったが、豊昇龍との相星決戦では大の里を応援というより、日本ガンバレという気になっていた。

 朝乃山は十両優勝を逃したが、彼の復活は喜ばしい。格別ファンということではないが、彼を見ていると人柄のよさを感じる。いくら格闘技といっても汚い相撲やずるい相撲は見たくない。

 アレッと思うシーンがあった。優勝決定戦に負けた豊昇龍が深々と頭をを下げて花道を帰って行った。神妙な顔つきである。どうしたことなのか。

 テレビ解説を務めた琴風氏が、「中身の濃い一番でしたね。…豊昇龍が深々と頭を下げて戻っていく姿なんとも言えなかったね。やっぱり立派ですよ。横綱という地位にいる人だなと今、つくづく思いましたね」と語っていたとネットにあった。

 この人は実につまらない解説をする。相撲協会の幇間のような人である。今まで豊昇龍にはぼろくそであった。

 豊昇龍には昨年の秋場所で、取組後に礼のやり直しを求められ、再び土俵に上がるという過去がある。

 当時は大関だったが5日目にしてすでに3敗。6日目前頭二枚目・王鵬にすくい投げで敗れ、痛恨の4敗目を喫した。

 負けてわずかに頭を下げるような仕草はあったがしっかり制止せず、急ぎ足で土俵下から花道から引きあげようとしたが、正面の九重親方(元大関千代大海)から礼のやり直しを促され、再び土俵へ上がった。

 あの千代大海が「礼を尽くせ」と注意。この人いろいろ疑惑のあった人である。人に「礼を尽くせ」と言えるような人間ではない。あの不祥事はその後どうなったのだろうか。次期理事長という話もある。

 負けて悔しい思いをしているところに、「相手に礼をやり直せ」という命令。モンゴルに「礼の文化」はない。これほどの屈辱があるだろうか。

 ともかくあの豊昇龍が、横綱になって初めての優勝をかけた大一番に負けて深々と礼をして土俵を去った。

 豊昇龍が特別人格者になったとは思えない。何かあったのだろうと思う。親方から日頃指導を受けていたかもしれないが、それだけではない気がする。

 やはり原因は白鵬ではないか。白鵬追放劇は相撲協会の浮沈をかけた一大案件だったように思える。
 白鵬の引退を待ってネチネチ、じわじわと追い詰めた。

 相撲協会は力士よりすべてにおいて協会が優先である。協会にたてつくものはつぶさなければならない。白鵬は格好の見せしめであった。
 朝青龍は協会の体質を見抜いていたから相撲に残らなかった。確かに悪がしこそうな顔をしている。

 時の総理大臣に「痛みに耐えて、よく頑張った! 感動した」と言わしめた大横綱貴乃花は、当然協会を背負って立つべき人気力士であったが、言ってみれば権力争いに負けて相撲協会を去った。

 今は、下手な歌を歌いながらつまらないテレビCMに出でいる。
 協会はあのCMを力士に推奨しているのではないだろうか。「逆らえば末路はこうなる」。豊昇龍もあのCMを見ているのではないか。
 
 白鵬は叩き潰したが、貴乃花は自ら張りぼての牛から転落するような人生を送っている。

 相撲協会にとっては願ってもないふるさと納税である。

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