裁判官が言葉を詰まらせてどうする

つぶやき

 袴田事件の再審裁判において無罪判決が出たが、しかしまだ無罪が確定したわけではなく、検察はどうするのか。ここまで国民の関心の高い再審事件。引き下がるか、控訴するか。

 裁判長は2時間近くかけて判決を読み上げた後、袴田さんの姉のひで子さんに証言台の前に座るように促し、「無罪判決が言い渡されても検察は控訴する余地があり、審理は続く可能性がある。無罪が確定しないと意味がない。巌さんに自由の扉は開かれたが、まだ、閉まる可能性はある」、と述べたという。

 また裁判長は、「ものすごく時間がかかっていて、裁判所として本当に申し訳なく思っています」という言葉を、〝言葉をつまらせながら〟話したという。

 そしてさらに「有罪か否かを決めるのは検察でもなく裁判です。確定するにはもうしばらくお待ちいただきたい。真の自由までもう少し時間がかかりますが、ひで子さんも末永く心身ともに健康であることを願います」と述べた、とNHKは報じている。

 裁判官はそんなことまで言っていいものなのかと、明日あたりのネットのコメント欄は賑やかなことであろう。
 裁判官だって人の子。無表情に座って話を聞いているだけでは眠くもなるし、飽きも来る。最後くらいは大岡裁きのようにカッコいいところを見せたくなるのかもしれない。

 冤罪事件が冤罪なのかどうかは、本人にしか分からないことである。
 裁判は真実に至ることが目的ではあるが、それは不可能なことであり、「手続きの合理性」によって得られた事実が事実と見做される。

 事実を「見做される」とするものである限り、裁判に間違いは生ずる。
 真実は誰にも分からない。「手続きの合理性」も不確かなものである。

 真実が分からないまま死刑になることがあり、無罪になることもある。
 検察が控訴しなければ、袴田さんは人を殺していないことになる。
 手続きとはそういうことである。

 なにより事件に巻き込まれないことが大切である。

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