老後破綻は老後の金銭の問題として語られるが、金銭の問題であることは結果であり、老後破綻には健康、年金制度の在り方、勤め人、自営者、そして日本の経済状況などいろいろなことが関連し合っている。
このことから改めて老後破綻について考えようとした時、NHKで中流に関する特集があった。
「かつて一億総中流と呼ばれた日本で、豊かさを体現した所得中間層がいま危機に立たされている」、と言うことを主題にした番組である。
「所得はこの25年で約130万円減少。その大きな要因が〝企業依存システム〟社員の生涯を企業が丸抱えする雇用慣行の限界。技術革新が進む世界の潮流に遅れ、稼げない企業・下がる所得・消費の減少、これらの悪循環」。
要は日本は滅茶苦茶である、と言っているのである。解決策を模索するというが本当だろうか。
内容に救いがなかったようで、視聴者の評判はかなり悪いようだ。
「めっちゃ暗い気持ちになった」
「ちょっともう途中で苦しくなってきて目を背けてしまった」
「まだ就職する前なのにこんな絶望を見せつけられて、どうすればいいん
だ…」
との怒りの声が上がったという。怒りの矛先をNHKにぶつけた視聴者も少なくないという。
NHKの局員の平均年収は1000万円を超えている。近々スマホにまで受信料を取るという。受信料の値下げと言っても数十円のこと。公共放送という名目でNHKは恵まれすぎている。中流危機を警鐘する資格はNHKにはない、ということだろう。
2回に分けての放送らしい。すでに放送済みの第1回は「企業依存を抜け出せるか」。第2回は「賃金アップの処方箋」である。
題名を見ただけで見る価値もないような気がする。
かつて日本が世界第2位の経済大国と自画自賛していたとき、その強さの秘密は終身雇用制だとしてきた。諸外国にはない雇用形態であり、これにより働くものは帰属意識を持ち、強固な連帯感のもとに企業経営がなされるとしてきた。
しかし終身雇用は労働者が求めたものではない。また豊かになったというが本当にその実感はあったのだろうか。ウサギ小屋と呼ばれた家に住み、テレビ洗濯機と車を持つことが豊かの実態であった。
解決策を探ると言ったってそんなもの一放送局にできるものでもない。日本の低迷の構造的な原因を指摘することなく、国民にスキルアップを求め、パートやアルバイトで収入を増やすことが大事だ、などと言うことが番組の結論になるのではないかと予想している。
日本は本当にどうするのだろうか。国を批判するより自分はどうするのかを問うべきだ、などと分かったようなことを言う人間がいるが、そんな人間を相手にしている暇はない。日本はおかしい。政治も経済も。
焼け跡から一生懸命働いて、多少豊かになって、とんでもないバブルが来てアメリカまで買って、みんな中流になって、そしてバブルがはじけて、それから何十年も落ちる一方で、今になったら、かつて秋葉原に半導体を買いに来ていたような台湾の会社に日本の大企業が買収されるような時代になって、若者はまともな就職はできず、老人は老後破綻におびえて生きていく時代になってしまった。
日本はこれ以上でもこれ以下でもない。政治家はしっかり、しっかりと言うからしっかりやってくれているものと思っていたが、しっかりは口癖であった
企業は利益を社会に分配するものと理解していた。なんとかショック以来、企業は儲けを抱え込むようになってしまった。企業は社員を減らし、利益を上げることが目的なのであろうが、いずれ社員が一人もいない会社なるものが登場するのだろうか。
誰もが思いつくような解決策しかない。
原発事故の排水は海に流す以外方法がない。
畑や山の放射能汚染は放っておく以外に解決方法はない。
景気が悪ければ社員を首にするしかない。
会社が行き詰まれば中国にでもどこにでも買ってもらうしかない。
経済を回すには感染症の規制を緩和するしかない。
出生率の減少は個人の問題であって国に責任はない。
老後破綻の問題は老人の自己責任であるとする以外解決策はない。(了)
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