老後の心配

つぶやき

 ひところの金融庁の老後不足金2,000万円問題は相変わらずネットを賑しているが、最近では十分な貯金があっても老後が心配だ、という記事をよく目にする。

 それは年金だけでは生活費が足りず、貯金を少しずつでも取り崩していくことの不安である。

 年金だけでは生活費が足りないことは分かっていることであるから、それなりの貯金をしてきて老後に備えたはずなのに、それが減っていくことに不安が生じるのである。

 何歳まで生きるのか、長生きしたら足りなくなるのではないか。この貯金で足りるのか足りないのか。仮に数億円の貯金があったらこの不安は生じないだろうが、数億円の貯金がある人はめったにいないということなのだろう。

 この記事の対象者の年金や貯蓄高はいくらなのだろうか。貯金が全くないとか、わずかしかないとかいう人達ではないのである。あるのに不安になるという人達である。

 70歳くらいの夫婦が、年金月23万円、貯金3,000万円だったらどうか。貯金5,000万円、貯金1億円だったらどうか。

 毎月いくらの生活をするかということが前提だが、夫婦2人とすれば多くても50万というところではないか。

 50万とすれば毎月の不足額は25万円くらい。それが90歳までの20年間とすれば1年に300万円。20年で6,000万円。

 毎月の不足額を15万とすれば1年に180万円。20年で3,600万円。
 4,5千万円の貯蓄を持っていてもそれが減らなければ安心だが、当然のことながら年々貯蓄は減っていくから不安になって当然である。

 100歳まで生きたとしたら足りなくなってはしまう。確かに心配である。

 今までの過去10年はそんなに経済的に変動のある時代ではなかった。これからの10年、20年、どんな時代になるのか見当もつかない。

 円が紙になると言う人もいる。スーパーインフレになってラーメン一杯が1万円にでもなったら貯金がいくらあっても足りない。
 植田日銀総裁は大丈夫なのだろうか。このところあまりいい評判を聞かない。

 確かにこの問題は誰も先のことが分かるものではないから面白い記事になる。雑誌などが書き立てているのも、人々の不安につけ込めば売れるということであろう。

 結論は簡単なことである。食べていける人は食べていけるし、食べていけない人は食べていけない。食べていけない人の行きつくとこは生活保護ということになるが、この制度がいつまでも存在しているとは限らない。

 先日テレビで、20代から老後の貯えをしているという若い男性がインタビューに応じていた。エライ、立派というべきだろうか。こんな若い人がお金を貯めはじめたら日本の景気はますます悪くなるのではないだろうか。

 これからは若い人はお金を貯め、年寄りたちはお金を使う、という時代になるのかもしれない。相続税の制度が変わったようだが、今後も税制改正は続くだろう。

 預金に対する税金はすぐにでもやるのではないだろうか。土地や建物の取得税や固定資産税などと同じ考えである。これらはいずれも現行は地方税であるから国の収入にはならない。

 日本の国民の金融資産は2,000兆円を超えている。現金預金は1,000兆円を超えている。これを国が利用する政策がこれからいろいろ形を変えて出てくると思われる。

 土地を取得すれは所有権ということになるが、所有権とは国から借りていることである、という定義がそのうち法律の教科書に掲載される。

 金融資産は国に代わって国民に持たせているだけである、という考えも存在しているはずである。  (了)

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