私の性分として、マツコ・デラックスなどというゲイ人は、認めるも認めないも気にもかげず素通りしたい人であるが、彼がテレビ番組で語ったという話が少し気に留まる。
「弱くなっていくよね、人間が。年取ると。転んだだけで骨を折るかも知れないじゃん、こんな体。それを突き詰めたら走れない。もっといくと、歩かない。じっとしてるってなるわけよ。街に出ることが死につながるから。できるだけリスクを減らすようにしている」と、しみじみ語った、ということがネットにある。
彼が何歳なのか知らないが、体は異様なデブのようである。そのことから転ぶことの怖さを感じているのだろうが、あの彼がそんなことをしみじみと気にしていたとは笑ってしまう。しかし彼も人の子、己の姿を知って転ぶ怖さを語るのも分からぬでもない。
頚椎症性脊髄症で医者にかかったのは74歳のときだが、1年間医者は毎月検診するだけで、いつ頃手術をしましょうとか、手術の必要はありません、というコメントは一切なかった。
1年後症状が進み、歩きにくくなった時、私から手術を言い出したが、そのとき医者がカルテを見ながら言った言葉は、「75歳ですか」ということであった。人生100年の時代。手術する必要があるかどうかということらしい。
人間70、80になれば立派な年寄りである。自分がその歳になるとそのことに気づかない。
80歳の患者を前にして医者は何を思うのだろうか。80歳の患者が医者を前にして思うこととは多分違うはずである。
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