美人も落とし穴になる

つぶやき

 知り合いの弁護士が何年か前に亡くなっていたらしい。亡くなっていたらしいというのは、家内が彼の名前が標題になっている追悼論文集というものを偶然スマホで目にしたからである。

 出版されたのは2023年。ということは3年前くらいには亡くなっていたことになる。

 彼と私たち夫婦は小学校の同級生であった。彼は大学卒業後司法試験を目指し、30過ぎて合格した。

 私たちが24歳で結婚した時、「同級生はみんな結婚しているのにうちの子はまだまごまごしている」と言った彼の母親の言葉が耳にある。

 あの時代、司法試験は簡単に受かる試験ではなかった。30過ぎてもとうとう受からず、人生を棒に振るような人も多かった。
 彼が合格した時、「命拾いをした」という彼の言葉が記憶にある。

 彼のことで一番深く思い出すのは長男の自殺である。
 悪い女に引っかかったらしく、妊娠を理由に女の父親から脅されていたらしい。長男はそれを苦に縊死してしまった。
 弁護士をしていながら息子を助けることができなかったと、彼は悔やんでいた。

 いい言葉ではないが、美人局と言う言葉がある。「つつもたせ」と読む。なぜ美人局と言うのか。美人でない女に騙されることもある。

 美人局は古くから世界各国どこにでもある古典とも言うべき犯罪である。ことが事だけに男も騙されやすい。

 まあ、いかがわしいところの女に騙されるのであれば騙される男も悪いということになるが、うぶなのは女性だけではない。若い男が女性の身体に惹かれるということは当たり前のことである。

 友人の息子さんもまさか玄人女を相手にしたということではないだろう。普通の女性が親と共にワルをすることはよくある。

 知人の女性の弟さんが若い頃同じようなことに遭っている。結婚した女性は生活には関係のない品を買い込み、それをすぐに売却して金銭に替え、その金を母親に渡していたようである。すべては母親の差配だったらしい。あとで知ればその女性は、中学時代から地元では有名なワルということになっていた。

 私もその弟さんに会ったことがあるが、とても女性をリードできるようなタイプの男ではない。つけ込まれても仕方がないほど覇気のない人であった。
 
 こういう問題は防げないということはないが、本人の気持ちとか、本人がいいと言っているから、とかいうことで最悪を迎えてしまうことが多い。

 息子が公園の木に縄をかけ首つり自殺。多分彼は50代半ばのはず、弁護士として絶頂期の頃のことではあるまいか。
 どんな思いだったのか、その後どんな人生であったのか。

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