山梨県の中央自動車道の笹子トンネルで天井板が崩落し、9人が死亡した事故から12月2日で12年が経った。
ひどい事故であった。トンネルを通過するとき、ドライバーの誰もが感じる不安が現実になった事故である。それだけあってはならない事故であった。今日、現場近くで追悼慰霊式が行われたという。
追悼式の中で、中日本高速道路の縄田正社長は、「あってはならない事故を引き起こしてしまいました。社員教育を継続し、事故の記憶と教訓を風化させることなく、安全を最優先として、自律的に行動できる人材を引き続き育成してまいります」と述べた。
追悼慰霊式に参列した高橋克法国土交通副大臣は「中日本高速道路にはこのような事故を二度と繰り返さないという決意を胸に、再発防止と国民の信頼回復に取り組むとともに、事故の教訓を風化させずに確実に後世に引き継いでいただきたい」と話した。
遺族の人達は、事故原因の詳しい究明がまだ果たされていないと再調査を求めているが、縄田正社長は、「調査委員会の信用性が高いことから、追加の調査をすることは考えていない」と述べた。
事故をめぐっては、業務上過失致死傷の疑いで書類送検や刑事告発された中日本高速道路と子会社の当時の幹部など10人全員が不起訴になり、4年前の2020年に一連の捜査は終結したことになっている。
古いトンネルや橋梁の危険性は何年も前から指摘されていたことである。
安全点検は欠かしたことはないならばなぜ天井板は崩落したのか。トンネルが崩壊したというのではなく、天井版の崩落である。日常的な点検で発見できたはずである。
高速道路、そのトンネルには管理者に対して高度の注意義務が課せられるのは当然のことである。危険性が高いからである。なぜ責任が問われないのか。
「自律的に行動できる人材を引き続き育成してまいります」
「このような事故を二度と繰り返さないという決意で取り組んでまいります」
自律的に行動できる人材を育成しなければならないのか。
「二度と起きてはいけない事故」で死んだ犠牲者は浮かばれない。
また事故は起きるということである。
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