久しぶりに立川に行った。公園のジョギングコースを歩くより市中を歩いたほうが変化があって歩きやすい。
いつも停める市営の駐車場料金は変わっていた。以前1時間300円が30分250円になっている。とんでもない値上げである。立川には国営という昭和記念公園があるが、ここの駐車代も高い。
何年か前に新宿御苑に行ったとき入場料の高さにおどろいた。新宿御苑は若いころから行き慣れたところである。入場料はせいぜい200円と思っていたが500円である。
公共の施設の料金はもっと安くていいのではないかと思う。外国の公園はお金を取るのだろうか。
日曜日の昼前、陽射しも強いのでデパートに入った。目当ては紳士服売り場である。2年ほど前に倒産したアパレルメーカーのブランド店がまだあった。
店員に声をかけると同じ質問を何度も受けているのか、面倒くさそうに、倒産した会社とは違う会社がブランド名を引き継いだ、と答えた。こんな年寄りを相手にしてもしょうがないという感じである。
以前この店をずいぶん利用したが、かつてのお得意さんを確認しようとするそぶりもなかった。
しかしこの売り場もずいぶん変わった。高級ブランドがほとんどなくなり、以前では2流クラスといわれた店が軒を並べている。
休日というのに客の姿はほとんどない。以前はどの店も試着している客がなん人もいたものだが、店員が手持無沙汰のように手を組んでいる。
前を通れば、観光地の食堂のおばさんのように手招きまではしないまでも、入店を誘っているような仕草をする。紳士服が売れないというが、どこのデパートに行ってもそれを裏付けるような状況である。
昼が過ぎたのでデパート内の店で食事をとることにした。このところ寿司を食べていないので寿司店に入る。3500円の特上チラシというのを食べたが特上とは言えない。
デパートの飲食店が高いのは承知のことであるが、値段と味が釣り合わない。入るべきではなかった。お茶がぬるい。店の名前は一流のようだが、味は一流にこだわらなくなったようだ。
店員さんも皆さん若いアルバイトの女性。「お客さんに気を使わなければいけないのなら私辞めます」と店長さんに言いそうな人ばかりである。
年寄りは「昔はよかった」と言うが、自分が年寄りになって本当に昔はよかったと思う。寿司はおいしいものであった。店員さんは接客に慣れていた。
寿司に限ったことではない。昔は何を食べても、どこの店でも何事もちゃんとしていたのである。歳をとると怒りっぽくなるというが、怒らざるを得ないことばかりだからである。いつの時代も昔はよかったのである。
デパートは行楽地であった。屋上に遊園地があったからというわけではない。何も買わなくても1日遊べるのである。催し物もあり、レコード鑑賞会なども行っていた。今思うといい時代であった。
子供のころ、近所のちょっとお金持ちのおばさんが、私をよくデパートに連れて行ってくれた。全くの他人である。母子家庭の貧しさに同情したのかもしれない。
おもちゃをよく買ってくれたが、三輪車まで買ってくれた。当時でも安くはない。デパートの食堂で食べたオムライスのことを今でも覚えている。私の結婚式にご招待した。おばあさんになられていたが私の結婚を喜んでくれた。
立川には二つのデパートがあるが、そのうち一つはすでに閉店し専門店になったらしい。
このデパートが開業した頃よく行ったものである。紳士服売り場は当時のトップブランドで占められていた。しかしこのデパートで最初に売り場を廃止したのは紳士服売り場であった。
以後凋落を続けてきたことになる。さみしい気がする。閉店が新しい飛躍につながるものであればいいが、それはどうもあり得ないようだ。
どこもかしこも「終わったな」という感じである。(了)
コメント
はじめまして!
私は大阪に住む、1949年生まれの主婦
です。同じ世代を生きた者として、イエモ
ン様のブログに共感し、毎回楽しみに、
拝見しております。
波瀾万丈の人生を乗り越えられて、今
悠々自適の日々を過ごされているのが、
目に浮かぶようです。仕事を辞められ
いろいろ感じることもお有りと思いますが、これほどの文章を毎日書かれていることに脱帽です。
その内、出版業界から依頼があるかも知れませんね!
ところで物事をはっきり表現なさるイエモン様に質問ですが、さだまさしさんを嫌う理由は?
作詞が嫌い、作曲が嫌い、人間が嫌い
是非お伺いしたいです。
歯に衣歯に衣着せぬブログ、これからも楽しみにしております!
コメントありがとうございます。さだまさしさんが嫌いなのは作曲家、作詞家としての姿勢です。人間については知りません。表現者は恥を持っていなければいけないと思います。時として作家は不本意な作品を作ってしまうことがあります。それを悔やんで何日も苦しい思いをすると言います。さだまさしさんにはそれがないと思っています。
以前ブログにも書きましたがさださんの作品に「君は歌うことができる」という歌があります。ぜひ聞いてみてください。彼の本質が表現されています。私も多少音楽を愛する者。彼の歌はどの曲もとても恥ずかしくて聞けません。大変優秀なメロディ作家と思っていますが、やはり曲も詞もやってはいけないことをやっていると思います。なお私はイエモンではなくリエモンです。
リエモンさま、返信ありがとうございました!
作詞、作曲はその人の個性だと思います。
3コードだけの単純なメロディーも歌いやすく、大衆受けするのだと思います。
世の中、人それぞれ、いろいろな感じ方があり面白いですね!