宮城野親方(元横綱・白鵬)が相撲協会から処分を受けた。
委員から年寄への2階級降格と、3カ月の20%報酬減額処分。
また師匠としての素養と自覚の欠如も問題視され、4月以降は所属する伊勢ケ浜一門が宮城野部屋を預かるということになった。
暴力問題を起こしたという弟子の北青鵬は引退届を提出。理事会が受理し引退勧告処分となった。
「師匠失格」ということである。あの白鵬が相撲界に残ることは極めて難しいことになったようだ。
現役時代大変な記録を残した大横綱であったが、相撲のしきたりからすれば問題の多い横綱でもあった。相撲協会として好ましくない人物ということになる。
やはり大鵬の優勝回数を大幅に上回るような外国人力士は好ましくない、ということではないか。
相撲協会としては白鵬の記録を消したいのかもしれない。消すことができなければ、汚い相撲で優勝をした横綱というレッテルを張りたいのかもしれない。
このぐらいの予想が成り立つのが相撲協会というところである。
白鵬の断髪式には相撲協会の人間は一人も来ていなかった。
白鵬も見誤ったのかもしれない。本来スポーツの世界は強い者がすべてである。強い者は何をしても当然許されるという意識があったのかもしれない。
自分の成し遂げた優勝回数を超える力士は今後現れることはないと自負したはずである。相撲の世界、つまりスポーツの世界においては、白鵬は引退してもナンバーワンなのである。
しかし相撲というものは伝統やしきたりのために存在しているものであって、力士個人のためではない。なにより相撲はスポーツではない。
どんなに大横綱でも引退すれば会場案内係からやり直す世界である。今回の処分では“売店の売り子”や“警備”を行う地位にまで降格されたことになるらしい。
朝青龍はいち早くそれに気づいていたのではないか。さっさと引退してしまった。白鵬はそれに気がつかなかったようだ。
日本に残って、日本人を妻にして、親方をやっていくなら自己を無にしなければならなかった。
取り直しの催促、万歳三唱、手締め。あれはまずかった。相撲協会を差し置いて出過ぎたことをしてしまった。日本の社会は出過ぎたことに対して寛容な社会ではない。
外国人力士が多いが、相撲が国際化したということではない。外国人力士は外国人ではあるが、外国人ではないことになっている。外国姓を認めない。
モンゴル出身の力士がいなければ相撲は衰退していたと思われる。そのことに一番頭を痛めているのは他でもない相撲協会である。
モンゴル力士はチンギス・カンの末裔である。蒙古の力士に土俵は席巻されている。蒙古の襲来を防いだのは神風であった。
相撲は神事だというのに、むかし神風という解説者がいただけで、一向に神風が吹く気配はない。(了)
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