無 縁 墓 地

つぶやき

 空き家も多いが墓の空き家も多い。墓は納骨の場であるから空き墓ということではないが、墓を承継する人がいない問題であるから空き家問題と根は同じことである。

 東京の青山墓地など主だった墓地において、無縁墓地が5割を超えているというニュースがあった。

 我が家には、空き家問題はまだ生じていないが無縁墓地の問題はある。昨年2月に102歳で亡くなった妻の叔母の墓のことである。

 子供のいない夫婦であったから、こののちその墓に入る人は誰もいない。叔母死亡後、妻が連絡先になっているので、霊園の管理事務所からは雑草を刈れとか木を切れとか、隣地墓地所有者の告げ口を口実にうるさいことを言ってくる。

 親戚はどこまで墓地の責任を負担しなければいけないのだろうか。子供のいない叔母の墓地など放っておきたいものである。

 叔母の墓のことについて、昨年亡くなった義兄の息子から申し出があった。

 妻からすれば甥である。叔母の墓を、永代供養をもって親戚縁者の負担をなくしたいというのである。費用も手続きもすべて自分が負担し、私の妻や妹夫婦に迷惑をかけないという。

 叔母の兄がこの息子の祖父ということになるが、祖父は生前子供のいない妹のことを心配していた。

 なんの気負いもなく、祖父の思いを遂げるのはただ一人の承継人である自分しかいない、自分の義務である、と言う。

 当然の申し出である。義兄は祖父の死亡に際し、妹二人に相続放棄を求めた。

 結局、祖父の遺産はすべて義兄の息子のものとなった。 (了)

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