歩行の困難な人がこんなにいるのか、と自分がその身になって気がつく。
すり足、小幅。ちょっとした段差があればつまずいてしまう。
むかし四つ足動物であった人間が二足で歩くようになって、その無理が足にきている、ということなのだろうか。
先日の土曜日、腰部脊柱管狭窄症の定期検診があった。
頚椎症は5月に手術が終わっているが、歩きやすくなった、ということはない。どうも腰が安定しない。
リハビリの指導員はしきりに腰の安定を言う。しかし手術前は歩きにくいということはあっても腰が安定しないということはなかった。
入院中ベッドに横になっていたから腰が弱った、ということも考えられるが、そんなに長い入院はしていない。いつ腰が安定しなくなったのか不思議だ。
歩行困難の原因が頚椎症にあったのか、いまだ分からない。医師もそのことには触れない。
首と腰が両方悪くて、当初は腰から手術しましょう、ということだったが、首を先にした。もちろん歩行困難の原因は主に首にある、と判断したからである。
首の手術をすると場合によっては腰が悪化する、ということは医師から聞いている。
10月の半ばに腰の手術をすることにした。医師も、首だけではおさまらないな、と判断したようだ。
歩行困難とここに書いているが、足が動かないとか、前に出ないとか、しびれている、ということはない。
リハビリで指導員が下肢を押しつけてもそれを跳ね返すほどの力はある。しかしお尻から下肢にかけて鈍痛というような痛みがあるのだ。
歩き始めはいいのだが、10メートルも歩くと痛みがきて歩きにくくなる。
この症状はまさにネットで見る腰部脊柱管狭窄症と同じである。
今回の定期検診では1年ぶりにMRIも撮った。ヘルニアもあるようだ。
この尻の痛みさえなければ楽に歩けるのではないか、と思う。痛みに悩んできたからこの予想は直観として意外に当たるかもしれない。
病気は病名を確定させることで治療が選択される、という仕組みになっている。
病名が確定しなければ治療は始まらないのである。
では病名を間違えたらどうなる、という問題が医療には存在することになる。
癌という病気は、ステージ1とか3といった病状があるわけではない、と思う。
癌は早い遅いはあっても、初期から末期に向かって進行していくものであるから、病期を区切れるものではないはずである。
しかしそれでは治療の術式とでもいうべきものが成立しにくく、そのため人為で病期なるものを決めたのではないか、そんな風に考えている。
したがってステージ1の手術が完璧に行われたものとしても再発・転移は起こるのであり、それは癌は進行していくものである、ということの当然の現象であって、厳密に言えば再発・転移という言い方は正確な言い方ではない、ということになる。
以前ドクターXというテレビ番組で、子供が痛みを訴える内容のものがあった。確かその痛みは移動する、という設定であったように思う。
なかなかその原因が分からず、その子の性格の悪さみたいなことも描かれているので、子供の嘘ではないかとされる。
しかし痛みが移動する、という子の訴えに関心を持ったドクターXなる女性医師は、体に入ったガラスの破片が痛みの原因で あり、それが体の中を動き回ることにより痛みが移動する、ということを突き止める。
NHKの番組に研修医が病名を当てる番組があった。なかなか面白い番組であった。
しかしこの番組を見ていて気になることがあった。患者が訴える症状がすべて当てはまる病名が正解となっていることである。
それでいいのであろうが、医者にかかる身としては少々気になることがある。当てはまらない症状というものがあるはずだ、と思うからである。
最新の医療器具を備えた大病院の中で、病気の原因が一片のガラスにあることに気がつくドクターX。なかなかうまい脚本だと思う。
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