昨晩久しぶりに日本酒を楽しんだ。ガンだ、肝膿瘍だとやってきて、やはり日本酒は美味いなどと言っていいのか少し気になるが、楽しむ酒を飲みたいときもあり、それにはやはり日本酒ということになる。
糖分を控えるため、この何年かなるべく日本酒は飲まないようにしているが、きのうの定期検査でいつも不愛想な医者が「素晴らしい」と言うほど数値が下がったので、そのお祝いに日本酒を飲むことにしたのである。
自分で言うのもなんだが、いじらしいことである。
昨年の12月の健診で、ヘモグロビンA1cの数値が急に上がり薬を飲むことになった。それまで自分としては気をつけていたつもりだが数値が嘘ということもない。
今回数値が下がったのは薬のせいだと思うが、医者に言わせれば薬を飲んでも下がらない人は下がらないと言う。
薬を飲まなくても正常値でいたいが、血圧や血糖値というものは歳と共に高くなっていくものであり、ある時期治療がうまくいったとしても一時的なものであって、高値安定をよしとしなければいけないのかもしれない。
きのう行った病院はやめて別の近所の医院にしようと、1週間ほど前に糖尿病専門という医院にかかり始めたが、2つの医院にかかるのも悪くない。
同じ糖尿に関することでも医師によって目をつけるところが違うようだ。
きのうの医師はすい臓機能に注意していた。血糖値の急上昇はすい臓が働かないということである。最悪はすい臓がんということになる。幸いにこれについては問題なしであった。
新しく行くことにした医院の医師はまず心臓機能を調べていた。「不整脈があります」と言う。初めて医者に言われた言葉である。
心臓だけは丈夫と思っていたが、医者にかかれば必ず新しい発見があるようになってしまった。大腸検査ではいきなり「痔がありまーす」と医者は言っていた。
小澤征爾さんが亡くなられたことを知った。
昨年、ジョン・ウィリアムズの演奏会をテレビで見たとき、車椅子に乗って現れたお姿を拝見して、月日の残酷さというものを感じざるを得なかった。あの溌溂とした小澤さんの見る影も無い。
小澤さんとN響のトラブルは、日本の音楽史に残る大きな事件とされているが、世界的なコンクールで優勝したとはいえ、まだほんの駆け出しの若い指揮者を指揮者に迎えるN響も軽率だし、小澤さんも音楽のテクニックは身に着けていたかもしれないが、音楽性も社会性もまだゼロだったかもしれない。
小澤さんはN響との決別により世界で活躍することになる。それがなかったら小澤さんがウィーンフィル、ニューイヤーコンサートに出演することはなかったはずである。今後、あの指揮台にあがる日本人指揮者はいないのではないか。しかし小澤さんにはもう一度ニューイヤーに出演してほしかった。
私は小澤さんの演奏会に行ったことがない。生の演奏は聞いたことがないのである。CDは何枚か持っているがいずれも若いときの録音である。
小澤さんが始めて第九を指揮した演奏をラジオ放送で聞いたことがある。オケは日フィルだと思うが、低音が揺れているのが印象的であった。解説者が、非常にモダンな演奏です、と言っていた。
小澤征爾の音楽は知らなくても、名前は知っている人は多い。日本人の音楽家としては珍しい人であった。
西洋音楽と日本人という問題がいつもあったが、小澤さんは両者の融合ということではなく、日本人の西洋音楽を貫いた人であると思う。
江戸京子さんが2週間前に亡くなられている。お二人のご冥福をお祈りする。(了)
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