桃 の 節 句

つぶやき

 今日は桃の節句。桃は桜と違い花に厚さを感じるから、桜より遅く咲くものと思っていたが、梅・桃・桜が咲く順序らしい。

 我が家にも母が孫に買った七段飾りのひな人形があるが、娘がとっくに嫁いでしまえばそれを飾ることもない。もっぱら義母が生前作った鎌倉彫りの内裏雛を飾るが、少し年配の内裏様に見えるところがいい。

 梅の名所、桜の名所と言うのは聞くが、桃の名所というのはあるのだろうか。桃の花を見に行く花見というのは聞いたことも行ったこともない。

 山梨県の一の宮は日本一の桃の産地といわれるが、桃の名所とは言わないようだ。一度桃の咲く季節に行ったことがあるが、野山一面が濃いピンク一色で、桜以上に心浮き立つものがあって落ち着かない。

 早ければ三月中旬には桜が咲く。やはり桜は品があって華やかである。業平さんではないが、桜が咲けば一度は見に行かなければと気がせかされる。

 桜が咲いてテレビに映るのは上野が多いが、最近では桜の名所もいたるところにできてきたから上野は桜の老舗ということになる。
 何年か前、不忍池近くに宿をとり、早朝から上野公園を歩いたが、七、八分咲きの桜が昼頃には満開になっていた。

 桜とは関係がないが、いつもの深夜ラジオで灰田勝彦が歌う「東京の屋根の下」という歌を聴いた。

 初めて聞く歌ではないが、1番の歌詞の中に、「日比谷は恋のプロムナ―ド 上野は花のアベック」という歌詞がある。上野がなぜ「花のアベック」なのだろうかとしばし考えてしまった。

 「恋のプロムナード」には品の良さを感じるが、「花のアベック」というのはどうも品が無い。

 この歌が発表されたのは1948年というから昭和23年。敗戦から数えて3年目。東京の町がどこまで復興していたのか知らないが、2番の歌詞には「銀座は宵のセレナーデ 新宿は夜のタンゴ」とある。

 上野も新宿も多分日比谷もそうであったと思うが、これらの駅周辺は闇市があったはずである。
 戦後の食糧難の時代があり、闇市の米を拒否して裁判官が亡くなったのは22年10月のことである。

 そんな時代のことを考えると、上野が花のアベックの町であることが不思議でならない。
 恋のプロムナ―ド、宵のセレナーデ、夜のタンゴ。ホントだろか。

 

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