今年も栗の季節。家内のいとこから、すやの栗きんとんが届いた。毎年のことだが私には上品すぎておいしさが分からない。
栗の季節となると結構忙しい思いをしていた。我が町から栗の名産地と言われる埼玉県日高地方には車で30分くらい。
農協が集積所を使って一般販売を始める。以前は列をなすということはなかったが、何年か前から長蛇の列となり、目当ての栗は売り切れということが多かった。
日高の栗は名品。何が何でも買わねばと思っていたが、近所の農家でも庭先で栗を売っていた。日高の半値で大きい。
食べてみるとびっくりするほどおいしい。日高よりおいしいということではなく、そんなに変わらないということである。栗にそんなに違いがあるはずもない。それ以来日高の農協には行かなくなった。
栗はどうやって食べるのがいいのか。母は栗が好きだったのか、普段自分から物を食べるということのない人が栗はよく食べていた。栗を半分にして、スプーンでほじって食べるのである。
家内が皮をとって丸ごと渡してくれるが、それを口に入れてほくほくと食べるのもおいしいが、私もスプーンでほじって食べるのが好きである。
栗ご飯は息子の好物であった。育ち盛りの頃、何杯お代わりをしたことか。栗ご飯のお代わりなら何杯でもいいが、高級鮭茶漬のビンを逆さにしてご飯に盛られたときは家内の悲鳴が聞こえた。
栗の実は童謡「里の秋」に歌われている。木の実はおせどに落ちるものであり、栗は囲炉裏端で煮るものであった。静かな静かな里の秋。母と二人、戦地の父の帰りを待つ歌であった。
母がよく栗きんとんを送ってくれた。多分築地で買った物だと思う。黄金色に光り輝いていた。おいしいが甘い。昔の栗きんとんには水飴が入っていたらしい。
家内が作る栗きんとんには水飴を入れない。食べ慣れるとその方がおいしい。
息子は40過ぎて、正月我が家に来れば重箱を抱えるように栗きんとんを食べる。
♪栗の実食べては思い出す♪
栗きんとんは母の思い出であり、いずれ息子にも母の思い出となる。
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