本当に悪いのはどっちだ

つぶやき

 昨日の朝刊に「三井環さん死去」の記事があった。死亡欄ではなく写真入りのニュース記事としてである。
 新聞としては大きなニュースとして取り扱ったことになる。

 三井環(みつい たまき)さんは男性で、元大阪高検の公安部長であったが、詐欺罪や収賄罪で逮捕され、1年8月の実刑を受けた人である。
 1月9日に死去ということだが死因の記載はない。80歳であった。

 三井環さんを知る人は知るし、知らない人は全く知らないはずである。
 検察の幹部の地位にあって、検察の不正を批判した人である。

 検察内部だけのことであるなら私も関心を持たなかったが、この人が逮捕された理由は私の仕事にも関連することであり、それも日常的に扱うことなので、必然大きな関心を持つことになった。

 この人の逮捕理由である詐欺とは、住宅用家屋証明書の詐取ということである。

 住宅の登記をする場合に、住宅用家屋証明書を登記申請に添付すると登録免許税が軽減される。
 平均的に言って15万くらいかかるものが3万円くらいで済むことになる。

 住宅用家屋証明書は市町村役場で取得できるが、主だった要件はただひとつ、その家に本人が住むことである。人に貸すために建てた家の場合は適用がない。

 三井さんは検察内部の裏金作りを糾弾していたらしい。
 「5億円を越える調査活動費の予算を、すべて私的な飲食代、ゴルフ、マージャンの裏金にしている…」とテレビで告発を予定していた日の朝に任意同行を求められ、そのまま大阪地方検察庁特別捜査部に逮捕された。

 逮捕の理由は、2002年4月22日に競売された神戸市のマンションを暴力団組長の親族名義で落札したが、居住の実体がないのに住民票を移動して住宅用家屋証明書を取得し、登録免許税を軽減させたとする詐欺容疑である。

 三井さんは暴力団との付き合いがあったらしく、不動産取引もよく行っていたらしい。

 暴力団との付き合いとか裏金作りということの詳しいことは別として、問題は住民票の移動をした時点で入居の事実がない場合、詐欺になるかということである。

 入居前に住民票を移動するということはよくやることである。本来住民票というものは実体と一致しているべきであるが、引っ越しすることが決まっていれば役所の手続きを先に済ませておこうということもある。大半の市町村が引っ越し前の住民票の移動を便宜認めている。

 私も引っ越し前に住民票を移動することを依頼人に勧めてきた。その方が手続き上便利であるからである。

 税金が安くなるのであるから軽減制度を悪用する人もいたはずである。しかし今までこのことで違反とか詐取とかで逮捕とか事件になったことは一度も聞いたことがない。

 それが不思議で調べたことがある。この制度は登録免許税という国税に関することであるから所管は税務署である。

 税務署に問い合わせると、すべて市町村に委託しているので管轄ではあるが税務署の業務ではないという。
 市町村に問い合わせると、委託を受けているだけで本来市の業務ではない。居住の有無はいちいち調べていないという
 実際に登録免許税を取り扱う登記所に問い合わせると、市役所が発行したものに対して当方に調査権限はないという。

 こんな制度によって三井さんは逮捕収監された。
 「検察の裏金を告発しようとした自分の発言を封じるために逮捕、立件した」と三井さんは検察の捜査手法を批判した。
 私も実感としてそう思う。

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