末期がんをどう生きる

つぶやき

 深夜のラジオ放送最後の4時台は、「末期がんをどう生きる」というインタビュー番組。このインタビュー番組は滅多に聴くことはないが、今朝は内容が少々気になって最後まで聴いてしまった。

 ステージ4の前立腺がんにより余命半年の宣告を受けている医療ジャーナリストに、番組のディレクターがインタビューする。尋ねる方も応える方も難しいインタビューである。

 余命宣告は去年の10月であるからちょうど期間の満了時。そのことをディレクターは話題にしたが、本人は笑いながら、「元気ですが、いろいろ体に変調をきたしています」と暗い感じはしない。

 「発見されたときはステージ1の前立腺がんを、医療ジャーナリストであるあなたがなぜステージ4までにしてしまったのか」と、ディレクターは率直に尋ねる。

 医療ジャーナリストの応えは、「なまじ知識があるから医者の言うことを聞かなかった。発見の段階で医者は全摘を勧めたが、そうであれば性機能を失うことがある。それは避けたかったので、がん部分の焼灼という術式を希望した」

 手術は成功し、狙ったがん組織は焼き尽くすことができた。しかしがんは再発転移する。

 7月に還暦を迎えるという。平均寿命からすれば20年、人生100年とすれば40年残すことになる。しかし好きなことをやってきた人生。思い残すことはないがクリスマスまでは生きていたいという。

 性機能を残すために全摘しなかったという話はどこかで聞いたことがある。小倉智昭さんがそうであった。西郷輝彦さんは全摘したが再発した。

 男にとって性機能を失うことと命とどっちが大事かと思うが、性機能を失わないで済むならそれを選ぶのは男として当然のこと。高齢になっても性機能を活用する場があるとは立派なことである。

 番組最後にディレクターが、「本日はどうもありがとうございました」と言ったのは覚えているが、そのあとどういう別れ言葉を言ったのか覚えていない。

 しかし「末期がんをどう生きる」という番組の標題もひどいものである。末期がんは生きられないものである。
 

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