日比谷公会堂

つぶやき

 私がオーケストラの演奏を聞きはじめたのは、ほとんどラジオやテレビの公開録音の場である。中学1年生の時からである。

 会場は文京公会堂、杉並公会堂、共立講堂などが多かった。
 上野の東京文化会館は2年生の時に完成したが、ここを公開録音の会場にするということはなく、初めて聞きに行ったのは、こずかいをはたいて第九を聞きに行った高校生の時である。

 日比谷公会堂は古くからある公会堂で、以前はここがクラシック音楽のメッカのような時代もあったらしい、東京文化会館ができてからは、あまり利用されることはなかったようだ。。

 日比谷公会堂には幼い頃の思い出がある。小学校にあがる前だと思うが、親戚の娘さんのバレーの発表会に母と行った記憶がある。

 舞台は全く覚えていないが、終演後、母たちが会場からなかなか出ないのである。
 ほとんどの観客が帰ったというのに、私たちだけが残っているのである。

 誰かを待っていたのだと思うが、私は公会堂の大きなドアーが閉められてしまうのではないかと心配でならなかった。泣いた覚えがある。

 母が娘時代に、ここでスッペの軽騎兵を聞いたことがあるという。軽騎兵序曲がラジオから流れると必ず、日比谷公会堂でこの曲を聞いたと、あの軽快なメロディをオンチな母が口ずさむのである。

 定時制高校に通っていた頃、偶然同級生の女子生徒と1つ席を空けて隣り合わせになったことがある。

 先日彼女の連絡先が分かり、懐かしさのあまり電話をしたが、お互い曲目が何だったか思い出せなかった。60年も前の話である。

 東京文化会館は改装するらしい。日比谷公会堂は築年数からすれば改築だと思うが、その話は聞かない。

 あまり馴染みのない公会堂だが、やはり何か歴史を感じる佇まいがある。

 

 

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