招かれざる客

つぶやき

 「招かれざる客」という映画を観るのは初めてではない。
 ストーリーも結末も知っているが、最後まで反対していた父親が、どういう理由で娘の結婚を承諾することになったのか、 その記憶がはっきりしない。それを確かめたくて、たまたま昨日BSで放送されていた映画を最後まで観てしまった。

 原題はGuess Who’s Coming to Dinner。アメリカ的な題名である。日本人にはこの題名は思いつかない。

 白人女性と黒人男性の結婚。それぞれの親たちの葛藤。まだ異人種間の結婚が禁止されていた1960年代のアメリカ社会が舞台である。

 言うまでもなく難しい問題である。すべては脚本にかかっている。問題の所在を指摘することは簡単なことであるが、誰もが納得する結論を提示するのは難しい。

 覚えていなかったが黒人男性は、大学を首席で卒業した世界的にも有名なドクターである、という設定になっていた。判らぬわけではないが、そのような設定にしないと話にならなところが残念である。

 母親たちは結婚に理解を示すが、父親たちは反対である。

 最後のシーンで、娘の父親は演説のように長いセリフを口にする。
 結局、娘の結婚を認めるのだが、その根拠とするものは人種問題において語られてきた理想である。

 自分の娘が黒人と結婚することを納得した上での承諾ではない。納得などできるはずもない。

 最後のシーンには疑問も残った。白人女性と息子の結婚を反対していた黒人の父親の考えが語られることはなかったことである。結婚の承諾は白人の父親のみにゆだねられていた。

 それから60年近く経つ。人種差別が無くなったという話は聞かない。テーマは素晴らしいが、それだけで終わってしまった。

 ハリウッド映画とはそういうものであった。原題名を訳せば「誰が夕食に来ると思いますか」でいいのだろうか。「招かれざる客」という邦題より深刻さはない。

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