世界で戸籍制度は日本と韓国だけかと思っていたら、韓国はすでに廃止し、中国と台湾だけということらしい。
戸籍とは何かと自問したが、よく分からないし、分かる必要もなかった。なんとなく税の取り立てのためではないか、などと思いつく。
戸籍とは何かが分からなくても、戸籍への届け出や、提出を求められることがある。最も一般的なことは結婚や、相続に関する場合である。
戸籍によって分かったことがある。私の母は再婚と聞いていたが、そうではなかった。結婚式は挙げたようだが、夫の籍には入っていなかった。法律婚でなければ結婚ということにはならない。
昔は子供が生まれなければ籍にいれないという慣習があったと聞く。「子無きは去れ」である。母から最初の結婚で生まれた子が死産であったことを聞いたことがある。
遠い親戚というべき女性が独身のまま亡くなったとき、相続財産管理人として遺産処理をしたことがある。
結婚歴もなく、子供もいないから相続人不存在ということである。
裁判所に所定の書類を揃えて相続人不存在の申し立てをしたら、裁判所から相続人がいるという連絡を受けた。
亡くなった女性は、家内の叔母の夫の妹である。その女性には父親違いの姉がいるというのである。
その女性の母親、つまり叔母からすれば姑さんは、10代の時に結婚していて一人の女児を生み、その後離婚して叔母の夫の父親と再婚していた。
その女児は成人後4人の子供を生んでいたのである。
叔母は子供を生めなかった。それを姑さんは何かと責めたようだ。
「あんたの夫を生んだとき、初産でとてもつらかった」という話を叔母に嫌味たらしく話して叔母を苦しめたらしい。
その叔母も2年程前に101歳で亡くなったが、姑さんが再婚であったということについて、「私があんたの夫で私の長男を初めて生んだとき…」という姑の話を死ぬまで口にしていた。姑はずっと嘘をついていたことになる。エラそうなことを言っていたって所詮は嘘つきだったと、よっぽど「仇をとった」という気持ちになっていたのだろう。
家内のいとこが昨年亡くなって生涯独身、当然相続人はいないものと思っていたがいた。
母親はいとこを父親不詳として生んでいるが、その後結婚し、結婚相手の男性の娘の亭主を養子にしていた。
どういういきさつが分からないが、人生いろいろである。
相続人不存在と思われる事案で相続人がいるというのは、そのほとんどが兄弟である。
父親か母親を異にする兄弟。下賤な言い方だが、たね違い、腹違いということである。知らなかった兄弟がいるというのはそういうことである。
戸籍は人生の秘め事を伝える。個人情報保護という時代。どこまで他人の人生を知っていいのだろうか。
個人情報を国家が把握している、ということがそもそもおかしいのではないか。
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