「37歳・宝富士5連勝」、と新聞の相撲欄がトップ見出しで報じていた。
お相撲さんの平均引退年齢は30歳前後と言われている。思っていたより早い。白鵬は36歳。貴乃花は30歳であった。「37歳で5連勝」これはニュースになるのである。
野球の選手も30代半ばあたりで引退ということになるが、相撲や野球に限らずスポーツ選手の引退時期は30代ということになる。
人間の体力は30代がピークということであるが、それにしても早い引退である。
30代で引退すれば、あとは第2の人生ということになるが、相撲の親方や野球の監督やコーチなどになれる人は、ほんのわずかな人のことである。
「私は野球しかできないから、第2の人生が不安だ」、という話をよく聞く。
体力の限界を理由に引退するのはまだいい。自分が納得するまでやれたからである。
野球などの場合には引退の他に戦力外通告というものがある。
戦力外通告をされた選手が他球団の入団テストを受けるドキュメンタリー番組を見たことがあるが、家族のいる選手の場合は見るのもつらい。採用されなければそれこそ路頭に迷うということになる。
人生において30代はまだまだ若いというような歳ではなく、本当に若いのである。若造と言ってもいい年代である。その年代で今までの人生を捨て、新しい人生に入らなければならないとすると、それは簡単なものであるはずがない。
東芝が4,000人の人員削減計画を発表した。66,000人いる社員の6パーセントに当たる人数である。
業績不振と言われる東芝にそんな数の社員がいるのかと驚いたが、やはり東芝は大企業であったということである。
50歳以上の社員を対象に早期退職を募るということだが、それによって業績は回復するのであろうか。
つい最近、資生堂も1,500の人員整理を発表した。これは社員の10%にあたるらしい。業績回復は人員整理からいつも始まるようである。
社員の首切りといえばシャープという会社を思い出すが、あの会社はその後どうしたのだろうか。確か台湾の会社と業務提携したとか、身売りしたとかの話があったが、日本の凋落を象徴するようなことであった。
サラリーマンは50歳を前にして退職勧告を受けることが多いらしい。スポーツ選手の戦力外通告と同じで、「不要」ということである。
「不要な物はどんどん捨てていかないと、いつまでも家が片付かない」、と家内によく言われる。間違っているとは思わないが、物は捨てればいいというものではない。
「不要な人間はどんどん切っていかないと会社がもたない」ということだが、最近は優秀な人まで希望退職に応じることが多いらしく、そのため会社の事業に支障をきたすことがあるという。(了)
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