老後、年金の他にいくらの貯えが必要かと色々とり沙汰されているが、大半の人たちにとってさほど気になる問題ではないのではないか。
70歳以上の人の平均貯蓄額は2,000万円を越えているし、そのうち2割以上の人が3,000万以上の貯蓄者である。3,000万以上ということであるから、何億円の人が2割近くいるのかもしれない。
貯蓄のできない人もいるだろうが、総じてと言えば、日本はやはり豊かな国である。70歳まで生きてきて2,000万の貯金もないのか、という論調がネットにはないがあってもおかしくはない。金が足りない、老後が心配だと言った方が記事として面白いということであろう。
社会制度というものは、平均的国民の生活というものを基礎にして作られるはずである。平均的国民の生活とはサラリーマンの生活ということになると思われる。サラリーマンと言っても一流から五流くらいまであるかもしれないが、日本の会社の99%は中小企業であるから、中小企業に勤めるサラリーマンの生活が結局平均的国民の生活ということになる。
中学時代の同級生に何人か中学を出て現業公務員になった人がいた。学校の成績は失礼だが皆さんビリである。しかし50歳を過ぎて同窓会で会ったが、皆さん普通の生活をしているようである。この人たちも定年まで勤めて、貯蓄額2000万円以上のランクに入ることになるのだろう。日本の社会はそういうことになっていた。それがおかしいと言っているわけではない。
しかしサラリーマンが安泰な生活といっても所詮は宮仕えである。一流サラリーマンと言ったところで三流サラリーマンとの貯蓄額の差は5,000万円、多くいっても1億円くらいの差しかない。1億円の差といったら大きいとも思うが、ひと山当てた人生から見ればゴミみたいなものであろう
人並の生活とは、平均的サラリーマンの生活を言うことになっているからそれ以上の人生にしたければ自分で稼ぐしかない。「ひと山当てる」ということになる。給料をもらう人生では「ひと山」は築けない。
昔は株屋、小豆相場、繊維産業、不動産屋などがひと山を稼ぐ職業であった。
松下幸之助氏は二股ソケットでひと山もふた山も築いた。
現代はネット事業、芸能人ということになる。
昔アイドル歌手だったという女性の亭主が何億円もの家を建てたという。何の芸もない男がどうして家を建てられるのか。私の偏見だけとも思えない。誰でもそう思うはずである。
理不尽な人間が理不尽に儲けているのがとても不愉快である。この国はやはりいい国とは言えない。
ビートたけしが「ニッポンが壊れる」-何がこの国を壊したのか-という本を出版したらしい。「金さえもらえりゃサラ金でもなんでもCMに出てやる」、と言っていた人である。何を考えている人なのだろうか。私と同い年のはずである。
人生平均で行くか、ひと山当てるか。立って半畳寝て1畳。金を持ってあの世に行けない。
生きている間、生きていられればいい。(了)
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