訪問マッサージを受けることにした。
正確には、「あん摩マッサージ指圧師」という資格のある人が我が家に来てくれて、私の歩きにくい体を手技で治療してくれる、ということである。
介護保険ではなく医療保険の適用が受けられるという。保険負担は1割であるから、その辺にある1時間3,800円などというもみほぐし屋さんより安い。
マッサージといえば理学療法士とか作業療法士とかいった人たちがするものと思っていた。理学療法士とマッサージ師とはどこが違うのだろうか。
「無料お試しパック」というのがあり、先日我が家に来てもらった。理学療法士とマッサージ師との違いについて説明をしてくれたが、良く判らなかった。
マッサージ師さんは、資格の正式名称が「あん摩マッサージ指圧師」であることを強調していた。「あん摩師」でも「マッサージ師」でも「指圧師」でもなく、「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格だそうである。
これに鍼と灸の資格を持っていれば、「鍼師・灸師・あん摩マッサージ指圧師」という長い名称になる。資格を呼ぶときどう言えばいいのだろうか。
同じ体の機能の治療に関することなのに、あん摩マッサージ指圧師は「師」で、理学療法士は「士」である。歯科医師も「師」であるが歯科技工士は「士」である。何故なのか。
調べてみたがこのことについては明確にならなかったが、以前から気になっていたことが思いがけずに驚くほどはっきりと分かった。
「師」は学問や武芸、芸術などを教える先生、師匠に対する敬称で、教えて導く者という意味があることから、尊師、導師、宣教師など宗教上の導き手にも「師」が使われる。
一つのことを職業にしているプロ、玄人を指すこともあるから、猟師や漁師にも「師」を使うことになる。なるほどである。
そして驚いたというのは「士」の意味である。「士」は才能をもって「官に仕える者」という意味である、というのである。
「士」は成人して自立した男性という意味の漢字だが、昔の自立するとは仕官することで、国に仕える、つまり役人になることを指す。まさか、と思うほどびっくりした。
なぜ士の意味にびっくりしたかと言えば、弁護士や税理士、司法・行政書士などの士業と呼ばれるものは、独立した自由な職業と言われ、国民の利益や利便を図るためのものとされているが、所轄官庁の利便のために存在しているものではないかと常々思っていたからである。
しかし「士」というのは独立した、権力に立ち向かうというイメージが作られていて、そのことがいつも不思議であったのである。
司法書士や行政書士など、士業とエラそうなことを言うが、所詮はお上の下働きではないか。法務局の役人が司法書士を馬鹿にしているのもこれで良く判った。
そういうことであれば「師」は「士」より偉いことになる。
リハビリ病院で高いベッド代を払って理学療法士のリハビリを受けたが、なんの効果もなかった。
やはり「士」より「師」でなければだめなのかもしれない。今度はうまくいくのではないか。そんな気がしないでもない。(了)
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