「2人に1人はガンになる」という言葉をずいぶん長い間聞いてきたような気がする。
しかし若い世代を含めて、2人に1人はガンになる、ということではないだろう。
国立がん研究センターがん対策情報センターのデータによれば、たとえば30歳男性なら、10年後の40歳までにガンと診断される確率は0.5%。
この確率は20年後の50歳で2%、30年後の60歳でも7%にとどまる。
あくまでも統計的にみれば、60歳までの現役世代のうちにガンになる確率は10人に1人以下に過ぎない。
「2人に1人がガンになる」のは高齢になってからの話である。
2人の横綱がガンで亡くなった。北の湖と千代の富士である。あれほど強かった二人が、まさかという思いを人に残して亡くなっていった。
北の湖は2015年11月に直腸ガンで、千代の富士は翌年の7月にすい臓がんで亡くなっている。62歳と61歳。二人とも若すぎる。今から思うと相撲の屋台骨のような人達であった。
昨日は喉頭ガンの定期検診日であった。手術して2年経つ。治ったということにはならないらしい。
局部に変化を認めるが、それがその後肥大しているような兆候は今のところない、という見立てである。それを今後も観察していくのが術後観察であると若い医師は言う。
ガンはやはり簡単なことではなさそうだ。定期検診を続けていくうちに平均寿命に近づいていく。ガンだったのか寿命だったのかと分からない年になりつつある。
若い医者の説明が判りにくい。「要はどうなんだ」という質問に答える習慣がないらしい。煮え切らない説明ばかりである。
この病院の特殊性から医師と患者の関係というものが一般の病院のようになっていないように思う。患者を実験の材料としか思っていない。
寛解とは完治したということではない。ガンとは体にできた「できもの」というのではなく、「ガンを発症させる病巣(体質)を持ってしまった」ということであると私は理解している。
早期発見とは、ガンが転移する前に発見することであり、早期発見により初期ガンを取り除いたとしても、病巣を持っている限り再発あるいは新たなガンの発症はあることになる。
昨日はもうひとつ定期検診があった。血圧と血糖値である。
前立腺ガンが以前から少し気になっているので、いつもの血液検査にPSA検査を追加してもらった。
前立腺ガンは最も多いガンだそうである。そういえば私の友人に何人もいる。進行が遅いとか死亡率が低いとか言われているが、このガンで亡くなった著名人は結構多い。
あらかじめ基準値を調べていったが、検査結果の数値はかなり低かった。
医師は専門ではないからか、「心配なら泌尿科に行ったら」と勧めてくれたが、「この数字なら問題はないのでは」と言う。
家に帰って調べてみると「基準以上だからといって前立腺ガンというわけではありません。基準値以下でも前立腺ガンの時もあります」と書いてあった。
「どいつもこいつも勝手なことを言いやがって」と言いたくなるような定期検診の一日であった。(了)
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