孫 の 青 春

つぶやき

 孫もあっという間に高校3年生になり、この夏休みが終われば卒業したようなものである。

 大学付属高校であるから受験勉強必要ないが、授業についていくのは結構大変らしい。
 一生懸命勉強して、一生懸命好きなサッカーに打ち込んでいようだ。

 ゲームキャプテンと言うらしい。別にキャプテンはいるのだが、試合には出ることがないため、副主将である孫がすべての試合でキャプテン腕章をつけている。孫はプレーはうまいが統率力がないということなのか。

 せっかくキャプテンになっても、出させてもらえなければ、かえって無念は増幅してしまうのではないか。
 レギュラーは11人。2年生もいるだろうから、3年生の1軍選手は7、8人というところレギュラーになれなかった3年生が30人以上もいるらしい。スポーツとは残酷なものである。

 息子が幼い頃、地元のサッカー教室に通っていたが、一度も試合に出させてもらえなかった。
 子供たちの試合である。勝ち負けに関係なく試合に出させてあげればいいじゃないかと思ったが、若いあんちゃんのようなコーチたちは全く出す気が無いようであった。
 
 孫のサッカー仲間が3人我が家に泊まりに来た。試合の帰りそのまま我が家に泊まり、翌日近所の市民プールに行くのが目的らしい。

 この3人は去年も来た。今年は泊まるというから何か美味しいものをと朝から買い出しに出かけた。
 朝食には是非しじみの味噌汁を飲ませたかった。多分最近の家庭ではしじみなど食べないだろう。
 
 夕方から雷となったが8時前には到着した。
 大の男が孫を入れて4人。さぞかし賑やかな食卓になるだろうと思いながら書斎を出て居間に入ったらすでにみんな食べ始めてい
 私への挨拶も、おかずにを向けたまま、横眼のものであった。

 家内がステーキを焼き始めている。いまステーキが来るからちょっと待ったらと言っても手も口も止まることがない。サラダと小鉢で1杯目が終わっている。

 ステーキが焼きあがり、それぞれの皿に盛りつけた歓声が上がると思ったが沈黙である。ただ黙々と食べている。しっかりブラックペッパーもすっていた。

 なんか言ってもよさそうなものだと思い、「うまいか」と訊くと、「こんなおいしいご飯は食べたことがありません」と答えた。なんだ判ってるじゃないかと思ったが、また黙々と食べ続けていた。

 みんなサッカー部とはいえそんなに大男たちではない。そういえばサッカー選手にあまりごついのはいない。
 6畳の和室に布団を敷きつめ、まるで合宿のようである。
 
 次の日はしじみの味噌汁と塩じゃけの朝ごはんを食べて朝から夕方までプールで遊んでいた。高校3年生、まだ幼さが残っているようだ。
 しかし後味は悪くない。愛想はなかったが、爽やかな青年たちであった。
 来年は大学1年生。日本の将来を担う若者たちである。
 どういうふうに成長していくのだろうか。()

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