孤独死と相続人

つぶやき

 A4の用紙6枚に、びっしり相続に関する手続きを書いて送ったが、返って来たショートメールは、マンションを安く売らないでほしい、ということだけである。

 相続人は誰もいないと思われていた男に相続人がいた。
 母親が結婚した相手の子と養子縁組をしていたからである。
 亡くなった男は生涯独身。子供はいないから相続人は兄弟姉妹ということになる。

 男は名古屋に数百万の預金と1DKのマンションを残して、2か月ほど前に自宅で病死した。 

 なんとか本籍地を調べ、母親の戸籍を取り寄せると、戸籍にはその男だけが載っていて、母親は婚姻により転籍。

 40歳を過ぎての結婚であるから、まさか子供は生んでいないだろうと婚姻先の戸籍を取り寄せると、子供は生んでいないが、結婚した夫には7人の娘がいる。次女の娘とその夫を養子にしていた。

 次女の夫はすでに亡く、孤独死した男の相続人は次女とその娘となる。次女は92歳、その娘は66歳。
 
 相続人になる母娘。わずかな遺産を受け取っても面倒が残るだけ。しかしマンションは高く売れるかもしれない。勝手に安く売られては困るということらしい。

 何の意味があって養子縁組したのか。夫婦養子の慣例に従っただけか。
 戸籍が古い話を呼び起こしている。

 母親は父親不詳で死んだ男を生んでいる。再婚ということではない。
 母親が結婚した相手は当時59歳。既に2度の離婚歴があり、最初の妻が2人、2度目の妻が5人のいずれも娘を生んでいる。今、一番下の娘が76歳。

 相続人となる次女の娘は33歳で結婚し、1年足らずで離婚。92歳の母親の籍に戻っている。

 あるダンス教室を主宰し教えている。ネットには若い姿で踊っている映像があった。

 孤独死した男は家内のいとこ。緊急連絡先に家内の携帯番号を書いたくらいであるから、相続人たちとの交流はなかったようだ。
 
 お互い知らない姉弟関係というものが存在し、それでも相続関係は生じる。
 中途半端な遺産であるから相続人もデメリットを考える。
 

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