国の体裁と大川原化工機事件

つぶやき

 自民党は、派閥のパーティー収入不記載事件を受け「政治刷新本部」なるものを設置し、11日に初会合を開いた。

 政治刷新と言うより自民党刷新と言ったほうがいいと思うが、それではあまりに的を得ていて好ましくないということであろうか。
 能登半島地震の緊急事態の時である。自民党のことなど後回しにすべきである。

 メンバーには問題となった安倍派の議員が一番多いらしい。他の派閥の代表者もメンバーになっている。小泉進次郎氏や三原じゅん子氏もいるという。失礼とは思うが、笑ってしまうほど何かおかしい。

 派閥が起こした問題を派閥が刷新と称して議論する。当然批判は起きる。批判は承知の上なのか、これしか方法がなかったのか。

 格好だけでもつけないとまずいということだと思うが、こんなことで格好がつくと思っていることが情けない。

 少しは自民党を信用したいという気もあるのだが、どうも構造的にダメなのかも知れない。政治が利権と関わりすぎている。

 「問題は派閥にある」と今まで何度言われてきたことであろうか。
 派閥、世襲議員、金権体質、金のかかる選挙、汚職。

 何十年も前から言われていることであるが、何も変わっていない。これからも変わることはないであろう。「だめだこりゃ」である。

 このところ岸田総理の防災服を見ているせいか、政治刷新本部の参加者のスーツ姿が意外に見える。それこそ自民党の一大事、みんな防災服でいいのではないか。

 しかし、なにか災害があれば閣僚たちは防災服になる。防災服を着なければ批判されるからであろう。みんな暖かい部屋で、格好だけ防災になる。

 官僚のうち何人が能登の現地に行ったのだろうか。一晩現地で過ごしてみれば被災地の現状を肌身に感じることができると思うのだが。
 
 大川原化工機事件の損害賠償請求訴訟第1審判決に対して、東京都と国が控訴した。捜査を違法と認定したことに対する不服ということらしい。

 原告側も、なぜ冤罪が起きたのか、その経緯が明らかにされていないとして控訴している。

 検察や警察にすれば、違法捜査という認定はどうしても取り去りたいであろう。違法捜査と言われては、それこそ権威とか威信とかに関わる。
 
 この国はなにより体裁を重んじる。体裁のために政治があり、行政があり、検察がある。体裁を保つことが目的になっている。

 明治維新による国の形はヨーロッパを真似ることであった。近代国家としての体裁を作れば、近代国家になると考えていた。洋館を建て、洋服を着てワルツを踊ればヨーロッパと同じ、と時の指導者は考えた。よかったのか、よくなかったのか。

 国民の信頼を回復しなければいけないというが、国民の信頼など意識して政治を行っているのだろうか。
 国民の信頼というのも体裁、国民の信頼を回復するというのも体裁。「政治刷新本部」なるものも全くの体裁である。

 ただ体裁を保つため、他国に侵攻しないのは良しとしなければならない。(了)

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