20代の頃から知る四谷の老舗、「茶巾ずしと大阪寿司の専門店」が3月末をもって突然の閉店。
店頭には<< 閉店のお知らせ >>が張り出されている。
…大正13年の創業以来、100年にわたり営業を続けてこられましたのもお客様のご支援によるものと深く感謝しております。
しかしながら、近年における食材費や人件費の高騰といった外部環境の変化に加え、社員の高齢化や新規雇用難また、設備の老朽化などの内部的な課題が重なり、事業の収益確保が難しい状況が続いております。
これらを踏まえ、慎重に検討を重ねました結果、下記の期日をもちまして閉店することになりました。
長きにわたりご愛顧いただいたお客様には大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。
どうかご理解をいただきお許しをいただきたいと思います。
閉店日:令和7年3月31日……店主
店主の気持ちが伝わってくる口上。長く引用するのも、と思ったが、ホロリとくる内容に思わず書き写してしまった。
20代の頃から知っている店と書いたが、地下鉄の駅から勤め先に向かう途中にあった店。
当時茶巾ずしというものを知らなかったし、大阪寿司というものも馴染みがなかったが、この店の佇まいは、味のなんたるかを知らない私にも格別な印象を与えた店であった。
結婚して家内に土産として買っていったことがあったのかもしれないが、家内に言わせれば絶品。こんな茶巾ずしは生れて初めてのことと言う。
以来この店を知っているということで、「食通ですね」と言われたことは何度もあり、茶巾ずしは好きだが、チェーン店のものを食べることが多い、という人にプレゼントすると滅茶苦茶に喜ばれたことがある。
よく買いに行ったということはないが、この店を知ってるというだけで気持ちが豊かになる。これぞ名店ということである。
これから人々はこの味に巡り会うことは無くなってしまう。
今までも、無くなってしまった味というものが無数にあるはずだが、なんとももったいない気がする。
ネットには閉店を惜しむファンの声でいっぱいである。
「お許しをいただきたいと思います」という店主の言葉が気持ちに残る。
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