昭和30年代の後半から40年代にかけて原野商法がまかり通った。
現代でも形を変えて原野商法なるものは残っているのかもしれない。
原野商法とは、けものでも通らないような原野を公図上分筆して、あたかも高級分譲地のようなパンフレットを作成し、1坪数円にもならない土地を何百万の価格で売りつけた商売である。
当時人気実力ともナンバーワンの大鵬さんが那須別荘会社の広告塔になり、有馬稲子さんは同じように別荘販売をしている会社の社長と結婚した。
時は高度成長期、土地は値上がりするという土地神話に踊らされて人々は競うように別荘地を買い、騙されていった。
詐欺まがいの原野商法が行きつく先は決まり切ったことで、多数の会社が破綻していったが、商売の路線を変更して現在まで生き残っている会社がある。
ある会社はマンション販売会社に変身し、日本一のマンション販売会社にまでなっている。
華々しくプロ野球の球団を買収した会社は、今はパチンコ店の経営者になっている。
原野商法の経緯や問題性に関心があるわけではなく、日本の不動産業というものは原野商法から始まったのではないか、ということに気がついた。
人を騙してでも契約金を払わせ、現地案内と言っても申込金を客が置いていかなければ原野の中にほっぼり出して営業マンは帰ってしまう、という荒っぽいセールスが、その後の時代の不動産会社の営業において踏襲されていったように思える。
現にバブル期の地上げ屋とか不動産屋の経営者はなんとか観光とか、なんとか開発と言ったその時の原野商法会社の出身者がほとんどであった。
今でも郊外の建売業者などには、原野商法の残党が活躍している。
戦後の不動産業というものが一部とはいえ、どうして原野商法などということから始まってしまったのか。
オレオレ詐欺や闇バイトによる強盗。
世の中は悪い人ばかりではない、と人々は言ってきたが、「世の中は悪い人ばかりである」と考えなければ生き延びられない時代になってきた。
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