孤独死した従弟の住民票の除票1枚をとるのに、弁護士に依頼すると33万円かかる。そんなふざけた話があるかと断り、自分でとることにした。
個人情報に関することとして、なんだかんだと利害関係を証する書面などというものの提出を求められる。33万円払わない代わりに不愉快な時間を過ごした。
死んだ人間の個人情報など、どうでもいいことではないかと思うが、市役所の公務員は仕事に従順である。個人情報の保護について滔々としゃべる。
個人情報の保護ということと登記制度というものの関連が少々気になった。
登記制度は不動産登記にしても会社登記にしても、権利や会社の内容を社会に公示するものである。公示制度であって、権利の証明制度ではない。
公示することによって社会は、権利の内容や会社の構成を知ることができ、取引の安全が保たれることになる、ということが公示制度の存在理由である。
しかしそれは個人情報のたれ流しであることは間違いない。今までこのことに関する認識がなかった。個人情報の保護などということはかつてありえないことだったのである。
住民票1枚とるのに面倒なことを強いられるというのに、「あの人がいくら住宅ローンを組んでいるのか」ということは、誰でもいつでも、なんの証明も必要なく知ることができる。
警視庁に勤めている人の奥さんが、登記簿謄本を見て登記所にクレームを言ったという話がある。
それは、建売住宅の道路に関する権利関係であるが、私道を何人かの購入者で共有することになると、持分ということで1つの登記簿に共有者全員の事が記載されることになる。
自分の所有する土地の登記簿を取り寄せたのに、他人のことまで記載されている。
それは他人からすれば、自分のことも分かってしまうことである。
警視庁信用組合からいくらの住宅ローンを借りたかということが記載されているが、ローンの金額だけでなく、夫が警察官であることも近所の人に知られてしまう。それが困るということらしい。
夫が警察官であることは近所に内緒にしたかったらしい。
この何日か毎日新聞に、孤独死した人に関する行政手続きのアホらしさが掲載されている。
お役所の人達はみんな真面目にやっているが、「意味がない手続き」ということの視点を持っていない。
みんな間違ったことはしていないが、日本はダメになる。
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