「人間が自分で意味を与えない限り、人生には意味がない」
ときどき人生の意味について考えたことがあったが、なるほどそういうことかも知れないなと思う。ドイツの心理学者の言葉だそうであるが、なんとなく納得のいく言葉である。
しかし人生に、意味のある意味を与えることは難しい。大した意味もないことであっても人生には意味があることにしてもらわねば、私などの人生には全く意味がないことになる。
人生、生きること自体に意味があるという人もいる。何ごとにも廉価品から高級品まであるということである。
人生深く考えなければいけないときと、深く考えてはいけないときがある。
私は、深く考えなければいけないときに考えず、深く考えてはいけないときに深く考えた。ネガティブな人間とはそうしたものである。
「生きることの素晴らしさは病気になってみないと分からない」と人はよく言うが、病気にならないと生きることの素晴らしさが分からないというのは残念なことである。
「人間には不幸か、貧乏か、病気が必要だ。でないと人間はすぐに思い上がる」
という言葉があった。ロシアの作家の言葉らしい。
「病気にならないと分からない」は説教臭いが、「思い上がる」には年寄りの説得力がある。
この数年の間に入院を要する病気をいくつか経験してきたが、幸いなことに、今のところ生きることの素晴らしさを感じたことはない。
生きることの素晴らしさを感じなくてもいいからこれ以上病気をしたくない。(了)
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