二人の女性の死が報じられた。丘さとみさんと園まりさん。
丘さんは東映時代劇の女優。園さんは歌手。お二人とも可愛いらしい女性であった。
丘さんは今年の4月に亡くなっていた。88歳だった。
1935年(昭和10年)生まれで、1955年(昭和30年)にデビューして、1965年(昭和40年)には引退している。
私が10歳の頃から、東映時代劇のお姫様であった人である。
東映時代劇は、もちろん名だたる男優の世界だが、彼らが名優でいるのも女優あってのことである。
千原しのぶ。田代百合子。高千穂ひづる。大川恵子、丘さとみ。
10歳くらいの子供にも印象の残る女優さんたちであった。
佐久間良子さんや藤純子さんは、この人達から大分後の人である。
ファンとか好きなタイプとかいう視線で、女優さんたちを見る年齢ではなかったが、東映時代劇の女優さんというのは、物語が破天荒な展開に進むとき、観る者に現実性を感じさせるような役柄であった。そのためか女優さんには男優以上に、小学生の目には大人を感じたものである。
丘さんは、可愛らしいお姫様として初めての女優さんではなかっただろうか。えくぼの印象がある。ご冥福を祈る。
園まりさんは80歳であった。私と3つ違い。
1960年代の初めころから、従来の歌謡曲が、和製ポップスというのか正確な言い方を知らないが、新しい作り手の基に変化を始めたとき、華やかに登場した人であった。
ただ、当初クラシックの歌手を目指したということだが、本格的歌手というより、歌も歌える美人タレントさん、という印象を受けるような人であった。
「今は何も言わないで」という彼女のヒット曲があるが、メロディーラインに笑ってしまうような稚拙な部分がある。
もちろん彼女のせいではないが、そんなこともあって、なんとなくいつまでも歌手としては素人ぽさを感じさせる人であった。
伊東ゆかり、中尾ミエと3人娘として売り出したようだが、3人娘といっても一緒に同じ歌を歌うというグループではなく、美空ひばりや江利チエミ以来の、「3人娘」という表現を使っただけのようである。
しかしあの時代、3人娘が順々に人気者になり、伊東ゆかりの「小指の思い出」や「恋のしずく」は、今までの歌謡曲との違いを決定的にしたのではないだろうか。
同世代の人の死はなにか迫るものがある。
同世代の男性の死は、自分の命に置き換えて気になるものであるが、それと共に、同世代の女性の死は、あの時代の雰囲気が、遠い遠い昔のことであったことを思い知らされる。
園さんも、丘さんのように可愛いらしい人であった。二人の可愛らしい女性がこの世からいなくなってしまった。
やはり可愛いらしい女性は、人に思い出を残す。島倉千代子さんもそうであった。(了)
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