孤独死した従弟の相続人となかなか連絡が取れない。連絡をよこさないということである。
孤独死したのに相続人がいるというのがおかしいと言えばおかしいが、いないはずの相続人がいるというケースは養子縁組の場合が圧倒的に多い。親が実の子と相談することもなく他人を養子にするケースがあるからである。
従弟の母親は私生児として従弟を生みながら、その後別の男性と結婚し、その男性の連れ子と養子縁組をしたから、その連れ子達と従弟は法律上兄弟ということになる。しかし互いに兄弟になったという認識はない。
死んだ人に配偶者も子もなく、親がすでに死亡していれば相続人は兄弟となる。兄弟は当然に養子も含まれる。
生涯独身の従弟が亡くなって92歳と66歳の女性が相続人となった。従弟にとって92歳の女性は姉。66歳の女性は姪となる。
姪は東京の下町でフラダンスを教えているらしい。
「あなたたち親子2人が相続人である」、ということを2月初旬に伝える。
従弟とは全く交流がなかったようである。
降って湧いた相続。放棄をするかと思っていたら、いとこが所有しているマンションを勝手に値付けしないでくれ、というメールが入るくらいだから相続する気らしい。
従弟の遺した財産は総額500万くらい。従弟の所有するマンションはもっと高く売れると思っているようである。
2月に、自分たちが相続人であることを確認したら連絡をする、というショートメールを入れたきり連絡がない。
先日、何の連絡もなければ葬儀費用等の立替金について裁判手続きをとらざるを得ない、と留守電にいれたらすぐに連絡があった。
「裁判とはどういうことですか」
「そちらが連絡をよこさなければ裁判しかないではないか」
どこかの司法書士を探し出してきて、預金引き出しのための資料集めをしているという。そんなに余裕があるわけではないので現金にできるまで待ってほしいという。
こちらが親切にいろいろ手紙を書いてアドバイスをしているのになんの連絡もよこさないというのが不誠実である。警察から遺体引き取りの連絡を受けてからこちらがどれほど面倒に巻き込まれたか。
「そちらは血のつながりのある関係ではないですか。遺体引き取りなどあたり前のことです」と言う。
そう、血のつながりのある関係であるが、相続権はない。
「そちらは血のつながりがないのに相続権がある。おかしな話ではないか。相続放棄されたらどうか」と言ったら、電話が切れたのかと思うほど長い沈黙であった。
私なら放棄をする。余裕があるからとかないからとかいうことではない。
まったく関係ない人の死による利益。受け取るわけにはいかない。
東京下町のフラガール。辰巳芸者のような気風の良さはなさそうである。
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