高齢になって家はあるが、まとまったお金を持っていたいという人には、リースバックはいい仕組みに見える。
家を売って売買代金を手にして、家賃を払っていればそのままその家に住むことができる。こんなうまい話はない、と思ってしまう。
しかし世の中うまい話はない。
「リースバックで後悔する人続出? 何百万円も損する落とし穴に注意」というネット記事があった。
ヒロミという私の嫌いなタレントがイメージキャラクターになっている。彼は、高額請求をして消費者庁から是正勧告を受けているある水道工事会社のイメージキャラクターにもなっていると、今日のネットニュースにある。彼が特別悪いということではないが、非難めいた記事になっていた。
リースバックの記事は、社会にリースバックの危険性を訴えるものかと思ったら、リースバック会社の広告記事であった。
リースバックで後悔する人は多く、何百万円も損する落とし穴があるが、わが社に頼めば安心・安全です、というものである。
最近こういったネット記事が多い。 誘導記事である。
リースバックは危険である。理由は簡単。リースバックは人助けではなく不動産屋の商売だからである。いい仕組みだと思ったら罠にはまる。
まず売買代金の問題。リースバック会社は転売するために買う。相場から2割3割安く買いたたくのは当然のこと。足元を見られれば4割安というのもありえる。
次は住み続けるための家賃ということになるが、安く貸すはずがない。借りている人は他に行く所がないからである。今度は相場より当然高くとる。
さらに次はその賃貸借の期間である。亡くなるまで住んでいていいですよなどということはない。例えば70歳でリースバックして、85歳くらいまで住んでいられたら助かる、などと思ったらとんでもないことになる。
不動産屋がそんなに長い期間、資金を寝かしておくわけにはいかないからである。1回目の更新時には家賃の法外な値上げや、いろんな理由をつけて賃貸借の解約を迫ってくるはずである。10年などのスパンで不動産の転売などするはずがない。
契約書はわざと難しい文面にしてある。理解しなかったのはそちらが悪いという論法である。
貸主の都合で解約できる旨の特約が、契約書の隅に極小の印字で印刷されているはずである。
そして最後は「いやならいやでいいですよ」ということになる。要はまとまったお金の必要さとの兼ね合いである。足元を見られたら不動産屋の言いなりである。
結局、「売ってもそのまま住んでいることができます」ということを歌い文句にして、売り物件を仕入れ、早期の転売で利益を出すことしか考えていない。不動産屋にすれば仲介業より断然儲かる。
元不動産屋が言うのだから間違いないが、まとまったカネがないということは騙されてしまうものである。
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