ポジとネガ

つぶやき

 女優の秋野暢子さんの闘病記がネットに載っている。頸部に重複癌が見つかって手術を受け、今は抗がん剤の治療を受けているようだ。お元気になられることを祈る。

 世の中なんでもかんでもポジである。テレビはまさにポジ真っ盛り。
 芸人の悪ふざけ番組だけではない、コマーシャルもポジだらけ。商品を紹介する女性の信じられないほどのあの笑顔。あれは不当表示である。

 ただ歯を出して笑い回り、ビニールか何かのトンカチのようなものを叩いて何十年もテレビに出ている人がいる。これがポジの典型芸なのだろう。見ているとその笑いには理由も感情も何もない。作り笑いの顔だけ。

 私は自他ともに認めるネガ人間である。生来のものであろうが、母の影響だと思っている。

 田舎での百姓生活しか知らない女性が東京で結婚し、3人の子の母親となったが夫は幼い子を残して早死にする。その後どんな生活をして生きてきたのか。

 母はネガ思考ということではない。ネガにならざるを得ない人生であった、ということである。

 しかし母のネガが生活の破綻を起こすことになる。兄のお嫁さんとの同居生活である。

 母のネガは他人と関係しなければ、そういう考え方もある、ということで場合によっては笑い話となることもあるが、生活を一緒にすることにおいては通用しなかった。

 兄も他人が生活に入ってきて初めて母のネガの異常さに気がついた。

 ネガであることのマイナス点がいろいろ指摘されている。自分がネガであるからよく分かる。

 私は友人に自分の考えを伝える詳細な手紙を書くことがあるが、返信には関心がない。これもネガ人間の特徴である。

 人はポジであることの方がいい。ポジの人は自分の気がつかないところで人を救っている。

 配偶者はポジに限る。ネガだったら逃げた方がいい。

 すでに何万もの兵士を失い、起死回生の総攻撃を開始するという朝、その軍隊の大将が「今朝は馬鹿にうるさごわすがなにかあるとですか」という言葉を周囲にもらす。

 よく耳にする日本人好みのエピソードであるが、私は好きな話ではない。無責任であるからである。

 しかしテレビの偽称ポジティブは何とかならないものなのか。
 結局視聴者が馬鹿にされているのである。

 それにしては馬鹿らしい芸人のギャラとやらはすごい。

 ほんの少し前まで飲まず食わずだったという漫才師が、コロナで仕事のない若い芸人に無利息無担保で100万円を貸すという。

 あまり持ちつけない金を持つといずれろくなことにならない。(了)

コメント

タイトルとURLをコピーしました