9月も中旬に入る。朝、庭に出ると、季節の変わり目を感じるようになった。今年は記録的猛暑というが、「記録的」はもう要らないのではないか。
 各地で竜巻が発生している。車がひっくり返り、電信柱が根こそぎひっこ抜かれて民家に倒れ掛かっている。竜巻はアメリカだけかと思っていた。
 年末の、「今年の出来事」に載せるべき災害である。
このところ多尿である。多尿は糖尿病の症状。エアコンの効いた部屋にいるから汗をかかない。それが原因ではないかと思うことにしている。多尿や頻尿から前立腺だの膀胱だのという病にはなりたくない。
家内を眼科医院に送っていった帰り、知り合いの不動産屋の前を通ると営業しているとは思えない状態。1週間ほど前、通ったときもそうだった。
倒産したのか。そんなに商売がうまくいっていないという話は聞いていない。
 知り合いの社員の人にメールを入れると、会社を移転したという。
 社長がやる気をなくしてしまって廃業するのも面倒らしく、大半の社員をクビにして、自社所有の小さな建物に移転したということであった。
 この社長さん、私と同い年。30代で地元を代表するような不動産屋をやっていたが、バブル崩壊でいち早く地元倒産第1号となった。
 
 地元でバブル崩壊による倒産と言えば、この会社の名がすぐあがるほどの派手なあっけないものであった。
その後、大分苦労したらしいが、新たな会社を立ち上げ、セコイ商売であったが低金利政策に助けられ、立派なビルを所有するまでの不動産屋になった。
傍から見ていてこの社長さん、年齢からしてこの会社の将来をどう考えているのだろうかと思っていた。この人には男の跡取りがいない。
結局業務縮小。売れ残り物件の処分。社長は出社するという意欲すら失っているようである。
 40代の初めに会社を倒産させ、60過ぎてから再起をはかり、それなりの成功を果たしたが、70を過ぎて意欲を失った。
 人生には「意欲を失う」という終り方がある。
 露口茂という役者さんが亡くなったという報道があった。
 ネットには代表的な出演作として「太陽にほえろ」というドラマがあげられていたが私は知らない。
しかしこの人のどんな出演作を見たのか覚えていないが、なぜかこの俳優さんにいい印象がある。
「俳優ってのはゴミみたいなものなんだ」という言葉を、露口さんは後輩の役者さんに対して言ったという話がある。
その後輩の役者さんはこの言葉を、「露口さんは『サラリーマンなどの仕事が世のため・人のための職業だとすれば、役者という仕事は自分たちがやりたくてやっているだけの独りよがりな職業。僕らなんか、社会の片隅で生きている端くれに過ぎないんだ』ということを言いたかったのでしょう」と解いた。
久しぶりにいい話だと思った。

  
  
  
  

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