コール・エルデは、私が入学した三流の私立大学夜間部にあった合唱サークルの名称。
夜間大学は誰でも入れるが、中にはわざわざ受験して落ちる者もいた。誰でも入れるのに落ちるのだから、どれだけの頭かよくわかる。
大学夜間部は働きながら学ぶというところだが、中には昼間の学部に落ちて夜間部に来た人も結構いる。
このサークルに入っている人にも何人かいたが、3年生から転部試験を受けられるが、転部試験に受かった人は一人もいなかった。
頭のいいのもいたし、中学英語あたりから全く判っていないような者もいた。
ドポルザークのチェロ協奏曲が好きだという男がいたが、名曲喫茶でその曲がかかっていても、何の曲か分からなかった。
「出身高校は両国高校です」という女性がいた。私と同級生なのに歳は2つ上である。なかなかの美人だったが、両国高校というのは嘘だと思う。頭の良さが雰囲気に現れていない。定時制ではないだろうか。夜間大学には結構見栄っ張りが多い。
このサークルに入ってなにより不愉快だったことは、夜間大学の学生らしくない、と民青に入っているような部員から批判されたことである。
夜間大学生は痩せていて、いつも食べることに困っていて、あまりいい服装をせず、それでいて社会のことを思っている人でなければならないようなのだ。
もうひとつ不愉快なことは、学生指揮者がろくでもない人間であったこと。指揮のなんたるかも音楽的知識も皆無で、よくもまあ立候補するもんだと思ったが、そんな男を部員たちは選んでしまった。その男の名前は山崎といった。
彼は全くのノンポリで民青ではない。民青の人も立候補したが、民青への反発から部員たちは彼を選んでしまったようだ。
秋に千代田公会堂で発表会を行ったが、この男が指揮したことによってピアノが出れない。ピアニストは何度も試みるが前奏の途中で止まってしまう。要は下手なのだ。このピアノを弾いた女性は確か丸山といった。
発表会が終わってピアニストは口汚く指揮者をなじったが、なぜなじられたか彼は判らない。この女性は民青。理屈を言う割には音楽性はゼロに近い。
要はへたくそな合唱団だったのである。
以来音楽というものは素人がやるものではない、というのが私の持論。
ここにあげた名前は仮名。



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