先日テレビで放送されたキリンの飼育番組で、キリンの血圧はどこで測るのか、キリンの血圧はどのくらいか、というクイズが飼育員から出されていた。
首かなと思ったが、正解は尻尾であった。心臓と同じ高さで測るのがいいとされているから尻尾ということになるらしい。
大きな体であるから血圧は結構高いだろうと思っていたが、体の大きさも高い血圧の原因の一つであるが、なにより2メートルもある首の長さが血圧を高くしているらしい。大体上が250で下が200であるという。心臓から頭に血液を送るには強力なポンプが必要となる。なるほどと納得する。
私の白衣血圧はかなり高い。白衣を診て血圧が上がるほど気弱ではないと思っているが、どうもそうではないらしい。なんとなく落ち着いて測りなおしてみても結構高い。医師は高いですねという。
家庭血圧が大体基準値を前後している。降圧剤を飲んでの数字である。医師は家庭血圧がそのくらいであれば、「まあいいでしょう」と言うが、しかし白衣血圧でそういう数字が出るということはやはり正常ということではない。
女房に言わせれば、私はどちらかと言えば猪首ということになる。そうであるなら血圧は低いはずだが、歳をとってから高くなってきた。
血圧に関する医師たちの見解はいろいろ分かれている。
昔の万年栄養失調の時代と違って今の人の血管は丈夫であるから、そんなに低く基準値を設定することはない、という考えから、とにかく130を超えたら危険だという考えもある。
基準値を10下げただけで薬屋の利益はけた違いに増えるということから、基準値を低くしているのは薬業界の陰謀だという指摘もある。
高血圧に関しては相反する考え方が併存しているから患者は迷うことになるが、降圧剤の副作用の危険性が言われても、脳や心臓は一発でアウトであるから、医師の言うことを聞かざるを得ないことになる。
7年前に6日間ほどの船旅をしたことがある。このくらいの船旅でもツァー中に死者が出ることがあるという。乗客に高齢者が多いことがその原因である。
ツァーを終えて横浜の桟橋についた時、救急車が待機していて、接岸と同時に病人が運び込まれ、救急車は横浜の市街に向かった。もちろん名前も顔も知らないが、一緒に船旅をした人、大丈夫かなと心配になった。
この船旅の2日目に、船にはクリニックがあるので、血圧の診断と計測のため医務室を訪ねた。60代くらいの男性の医師がいたが、私の計測値に全く関心を持たなかった。「その歳なら当然の血圧です。そんなことで降圧剤を飲むことの方が危険です。降圧剤は石油でできているんです」と言う。仕事より若い看護師が気になるようであまり熱心な印象は受けなかったが、降圧剤が石油からできているとは知らなかった。
いま私は降圧剤を飲んでいるが、それでいいのだろうか。
しかしこういうことを考えるときはいつも、「あとなん年というわけでもないし」という言葉が頭をよぎる。
あと何年でもないなら薬を飲む必要もないはずだが、飲まないというわけにもいかない。難しい歳頃はとっくに終わっているが、また難しい歳頃を迎えてしまった。(了)
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