財務省が、「日本の開業医は儲けすぎ」、と判断したという。何をいまさらである。
財務相の諮問機関、財政制度等審議会は11月20日、開業医の経常利益率があまりに高いと指摘。初診料や再診料などを含めた開業医の医療の値段、診療報酬の単価を5.5%引き下げるよう財務省に要請した、という記事があった。医者は儲けすぎという言葉に胸のすく思いがするが、わずか5.5%の引き下げで儲けすぎが解消されるだろうか。
医師会には「開業医の利益率が高いのは患者を守るため」という金科玉条がある。何を言っているかである。利益率と患者を守ることは別だと思うが、ともかく財務省が開業医は儲けすぎと言っているのであるから、言い換えれば「開業医は不当な利益を受けている」、といっても間違いではないことになる。このことを社会に広めなければいけない。
以前このブログにも書いたことだが、近所のクリニックは医者が一人しかいないのに、ありとあらゆる診療科目をうたっている。診療科目を多くして初診料稼ぎをしているのではないかと推察したが、どうやら図星のようである。初診料、再診料で十分やっていけるというのがおかしい。
これも近所の医者のことだが、開業したばかりの医者が駅前に敷地100坪の大邸宅を建てた。どうしてそんなことができるのだろうか。授業料無償の医大出である。元を回収する必要がないからであろうか。
日本医師会の政治団体「日本医師連盟」が岸田文雄総理に1400万円、武見敬三厚労相に1100万円を政治献金していたことが明らかになったという報道がある。武見敬三氏はあの武見太郎氏のご子息である。
政治献金は合法とされているが、袖の下であることに変わりはない。自分たちに都合の悪いことを合法とすることができるのが政治である。
高齢化問題は大きな社会問題としてマイナス的なイメージとして捉えるが、医療機関や介護施設にすれば最大のビジネスチャンスと考えているらしい。私は医者でも介護施設の経営者でもないからこのような視点で高齢化問題を考えたことがなかった。
東京医師会の尾﨑治夫という会長さんは、「医療や介護は高齢化でどんどん需要が伸びる。いま財源を削ったら悲惨なことになる」、と新聞のインタビューに答えている。
需要が伸びるという表現は経済用語だと思うが、医師会の会長さんが言うくらいだから、医療や介護においてはそういう認識が常識なのであろう。しかし、「財源を削ったら悲惨なことになる」、とは脅しである。
以前、介護施設を新たに始める女性の依頼により、法人設立手続きを受託したことがある。今まで水商売をしていた人である。これからは介護で儲けると言っていた。化粧の濃いそれらしい人であった。八王子滝山病院にならなければいいなと思うばかりである。
需要が伸びれば供給を増やさなければならない。この供給とは医療や介護の財源である。国は供給せざるを得ないことになる。医療制度は権力を支えていることでもあるからである。
しかしサービスのしすぎだということも言えなくもない。高度成長期の制度をそのまま継承している。いまさら後退はできない。今そのサービスのしすぎが医療制度の足元を揺らしている。しかし足元を見直すような度胸はないようだ。
病院の医師不足が続いているらしい。苛酷な病院勤務より診療所勤務にシフトしていることが原因であると言われている。
健康保険の保険料と収入とのバランスが取れていない。最高保険料が適用される年収の天井が低すぎるのである。それでいて病院は赤字で開業医は年収3000万円。
医療費はバイキング料理のようなものである。うまいところは医者がみんな持って行ってしまって、国民は後から後から継ぎ足さなければならない。いい加減食べ放題はやめた方がいい。(了)
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