家内の病院の帰りスーパーで酒と氷を買い、レジで昔の仕事仲間を見かけたので声をかけた。この人は土地家屋調査士であったが8年ほど前に廃業し奥さんと農業をしている。私とほぼ同い年。
地元でも人気の高い土地家屋調査士であったが突然廃業し、畑を耕し始めた。収入もかなりのものであったと思うが、それをやめてなぜか農業に。
スーパーで日常的な食料品を買っていた。奥さんはどうしたのだろうかと思う。彼がこんなスーパーに来て食料品を買うような生活をしているのがおかしい。
声をかけると、「ずいぶん変わりましたね」と私のことを言う。私のことは全く気がつかなかったという。
奥さんはお元気ですかと聞くと、「ちょっと、あまり…」という感じ。
私は「実は私は腰の狭窄症をやりましてね」と、ほかの病気のことは言わず、杖をついて歩いているのはそのせいだと言いたいためにそんなことを口にした。
「あの病気は私の知り合いもそうでしたが、手術してもダメみたいですね」と彼は言う。
そこに家内が、私とは違う買い物をしてそばに来た。
「いつもスーパーで買う野菜を作っている人だよ」と彼を紹介する。
「ネギ坊主がとても美味しかったです」と家内が言うと、うちの畑で作っていましたと嬉しそうであった。
少々話が弾んで、「私は膠原病なんです。いつ死んでもおかしくないんです」と言い出す。
よく聞き取れず、「奥さんが?」と聞くと「私が」と答える。
膠原病と言えば私の友人の奥さんも、岸洋子さんも八代亜紀さんも、この病名が死因であった。
久しぶりに会った知人との会話はそういうことであった。かなりつらい生活を強いられているのではと思ったが、「あなたの野菜をよく買います」という家内の言葉を機に、「それではまた」と別れた。
こんな歳になって、みんな病気を抱えているのだ、と思うしかなかった。
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